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増えた黒いハート!

おはようございます。

戦闘訓練の授業である。

『色持ち』となり『従魔獣契約』も行い 魔法の種類も決まった。本日から魔法を行使した『戦闘訓練』が始まる。

従魔獣との契約により 行使できる魔法は1種類。威力は今後伸ばせば良い。

だが、、従魔獣契約が出来無かった私は ひとまず剣を素振りしている。虚しい。。


「ちょっと それでは皆さん! あら? ごめんなさい。ルナマリアさん以外の皆さん! 従魔獣を召喚して下さい。自然と頭の中に呪文が浮かぶはずです。呪文を唱えて正面の的に魔法を行使してみて下さい」

『そこーー 強調しなくてもーー 誰か触れてくれーー』


「あ! ほんとだ浮かぶ」

「すごいや」

「うりゃー」「おりゃー」などと 周囲の学生たちは、様々な呪文を唱え魔法を行使して 的にぶつけていく。

または 空間魔法で収納を試したりと 魔法を行使していく。

『正直、羨ましい、、』。


1人だけ ポツンとして躊躇している女性がいた。教師が声をかける。

「ちょっと シュリーさん。従魔獣を呼び出して 魔法を行使してちょうだい」

「はい。カーボラン!」

大型のウルフ種の出現と共に 周囲に黒い霧が立ち込める。ウルフ種は とても苦しそうである。


「黒すぎなんじゃない?」

「呪いらしいわよ」

「黒すぎなんてものじゃなくね?」

「黒い霧まで 出てるし、、」

「あの黒い霧に当たったら 呪いが憑るって噂よ」


『聞き慣れた言葉と不穏な言葉が聞こえる、、』


「ちょっと シュリーさん。治癒の魔法を行使出来そう?」

「・・・難しいです、、」


『シュリーさん 辛そう』


と、突然 頭の中に浮かび上がる『フルキャスクーウーラン』の文字。

『これは??』


「フルキャスクーウーラン」

意識して無いのに 自然と呟く様に言葉に出た。


その途端 目の前がグルグルとして 気持ちが悪くなり立って居られず その場にしゃがみ込んでしまった。

『何、、この感じ。何かがどんどん身体の中に流れ込んでくる。気持ちが悪い。身体が熱い。。目の奥が痛む』


気分が優れない。気持ち悪い。目を閉じる。


「ちょっと あなた大丈夫?」

教師が心配になり 私に声をかけてくれるが。。なぜか? 直ぐ近くに居るはずの教師の声が 遠くの方でしている。はっきりと聞こえない。返事が出来ない。息も段々しづらくなって来た。意識が無くなってもおかしくないはずなのに。。何故か意識だけは はっきりとしている。意識が無くなった方が楽なのに、、何で、、意識が。。


教師にしてみれば 何が起こっているのか分からない。私を救出したいが 命に関わる可能性があった場合 不用意に動かしてはいけないのかも。と考えて 医務室に連絡する事と 私に声をかけるのが精一杯であった様だ。


『私は な、何? そんな。。動けない』

その時! 魂に直接 文字を刻み込まれた様な感覚に襲われた。脳中が雷で撃たれた様な。はっ!とした様な。覚醒したというか。目覚めたというか。


『フルキャスクーウーラン』


呼吸が少し楽になって来た。気持ち悪さが段々と無くなって来た。教師の声も間近に感じる。聞こえる。目の痛みも段々と無くなった。恐る恐る 目を開けてみる。


『!!!』

明らかに 周囲の物質の見え方が 今迄とは全く異なっていた。

無機質な物質の全てが『生物的な物』の様に見える!! 無機質な物質の全てが踊っている。


『うん?』

念の為 目を閉じて もう1度 ゆっくりと開けて 周囲を見渡してみる。


『な、何? どういう事?』

ゆっくりと立ち上がる。再度周囲を見渡す。何も存在していないと思っていた空気中ですら 何かが存在している。そして踊っている。


教師が心配そうに聞いて下さる。

「ちょっと あなた大丈夫? 何があったの?」


「わかりません。突然気分が悪くなって来たのです。すいません。今は大丈夫?と思いますが。。」

『自分でも 正直何が起こったのか わからない。身体は軽い気がする。多分大丈夫と思うけど。。』


「ちょっと ホントに大丈夫? 突然しゃがみ込んで びっくりしたのよ」


「すいません。正直よくわからないのです。。魔法を行使しようと思ったら、、」

「ちょっと そ、そう。。とりあえず無事で良かったわ。一応医務室に行って 健康チェックを受けて来てちょうだいね」

「は、はい。すいません」

『一体なんだったのだろう?』


私は ひとまず 教師に連れられて 医務室に健康チェックに向かう。


医務室の扉を 教師がノックする。「ちょっと 入るわよー」

扉を開けると中に 筋肉ムキムキ男の医務官が白衣を着て座って居た。

「黒? 何か 黒すぎんか? くろっ! しかも 黒い霧って!」

私を見るなり そう言った。『なんだか、、慣れたわ』


「ちょっと この学生 突然倒れたのよ。心配で・・ちょっと診てちょうだい」

教師が医務官に 先程の出来事を伝える。


「じゃあ 此処に座ってくれるか?」

「はい わかりました」

私はそう言って 医務官に指示された通り 医務官の前の椅子に座る。


「何処か 調子が悪いか? 痛むか?」

「いえ。今は特にはありません」


医務官は 私の目 手のひら 右手の愛メーターを診る。

「黒いなーー。ってか 黒すぎへんか? 5個共 黒って、、なぁ 今迄 ハートが黒い奴って 見た事あるか?」

「ちょっと そうよねぇ 私も黒いハートなんて 一度も見た事無いわ。。黒い霧もねーー。しかも この子従魔獣契約が出来無かったのよ。そんな事今迄ある?」

「従魔獣契約が出来無い!? 聞いたことないな」


医務官は 私の左手の甲を見る。

「確かに 紋様がないな」


「うん?」

突然 医務官が見間違えたかと思って 目をこすって私の右腕をじーっと見る。

「1・2・3・4・5・・・」


「って!!おい! ちょっと待て! お前 愛メーターが 6個もあるぞ!! それも全て黒い!!」

医務官が 驚愕しながら声を荒らげて言う。


「えっ!?」

私は 驚いて自分の右手を見てみる。

「1・2・3・4・5・・・」確かに黒いハートが6個ある。1個増えている!


「お、おい 従魔獣契約も出来無いって 一体お前は何者なんだ?」

『何者って言われても、、』

「ただの学生です」

「ちょっと 確かに今までハートが6個なんてことあった?」

「そんな事は1度もないなぁ。これは報告せざるを得んなぁー」

「ちょっと やっぱりー」

「愛メーターのハートが黒い! しかも6個ある! 一色なんて 黒ですら見たことがないのに、6個なんて、、」


医務官は 教師と話しながら 止む得ずといった感じで 検査を続けていく。

最後に顔を まじまじと見て 何かを確認していく。


「まぁ 病的な意味で。明らかな異常は見当たらん。大丈夫だろう。黒くなり過ぎて ストレスか疲れか 緊張かもしれんな。しばらく安静にして様子見ってところだな、、だが その黒といい 愛メーターの数といい 一色といい 従魔獣契約出来無い事といい。それは 明らかに異常だ! 普通じゃ無いな」

医務官は 記録を付けながら言う。


「ところで 名前は?」


「はい『ルナマリア ハウライト』です」

私は 自己紹介をする。


「お貴族様か、、なら 王宮には俺から報告しておく。他に変わったことがあったらいつでも来てくれ」

医務官にそう言われて 私は医務室を後にした。


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