従魔獣契約!
『色持ち』になった事で 神様との相性が判明した。そこで『愛メーター』検査の翌日に『従魔獣契約』を行う。
『従魔獣契約』とは 学園内にあるいくつかの魔法陣に 自分の血を垂らす事で『召喚された魔獣の魂に自分の名前が刻み込まれ 自分に従魔獣の名前が浮かび 名付けをする事で 主従契約を交わす事』である。
「ちょっと 皆さん。聞いてちょうだい。我々人族は 従魔獣契約を行う事により 魔獣の使える魔法を共有化して 行使する事が出来る様になります。従える魔獣は 1人1体のみである事がほとんどでありますから 使える魔法も 1人 1種類である事が多いのです。自身と従魔獣を鍛えていく事で 魔法の威力 級度が増す事はあっても 種類が増える事は無いのです。勘違いなさらないでちょうだい。特に皆さんは 従魔獣契約直後なので 初級の魔法を行使出来れば 良い方ですよ。現在迄に 最大で魔獣を2体従えた例は 1例だけありますが もっと大人になってからの事です。その方は 魔法を2種類行使出来た様です。ですが それ以上の数の魔獣を従えた例は 1度も無いのですよ」
教師が説明する。
「ちょっと それでは 昨日と一緒 魔法陣の真ん中に立ち。今度はナイフで左手の親指を傷つけ 血を垂らしてちょうだい。すると血の契約により 召喚された魔獣が現れます。魔獣が現れたら『名前』を付けて下さい。名前は 頭の中に浮かび上がるはずです。緊張せず 恐れず 行って下さい。従魔獣契約が成功しますと 左手の甲に紋様が刻み込まれまーす」
学生が 1人また1人。魔法陣に立ち『従魔獣契約』を行っていく。
その度に「やったー」とか「えーー」とか 歓声が上がったり 落胆したり 悲喜交々である。
私の番が来た。
「ほら あの子よ」
「黒?!」
「黒すぎだろ」
「あの黒い霧 何?」
様々な声が聞こえる。
私は 一切無視して 魔法陣の真ん中に立つ。ナイフで左手の親指をほんの少し切り 血を垂らす。魔法陣に私の血が染み込んでいく。
「・・・・・」
しかし 魔法陣は まっーたくの無反応である。
一切 光を放たない。今迄は必ず 色や強さは違えども 必ず光っていたのに。
『うん? 血が足りて無い?』
私は もう1度 垂らしてみる。確かに 血は魔法陣に染み込んでいく。しかし やはり光らない。
『ここに来て 魔法陣も故障したんじゃね?』
「ちょっと おかしいわね?」
教師は 魔法陣内に入って来て 魔法陣を触ったり 私の左手の親指を見たりと いろいろ確認をする。
「ちょっと それにしてもあなた本当に黒いわね」
『大きなお世話だ。っつうの』
「ちょっと あなたは 魔法陣の外に出て 交代してちょうだい。そちらのあなた 次ね」
教師はそう言うと 私を 自分と一緒に魔法陣の外に押し出し ラーナに魔法陣に入る様指示する。
ラーナが魔法陣の真ん中に立ち 血を垂らす。すると 魔法陣が 眩いばかりに緑色に光り 大型の鹿種が現れた。緑色の光なので おそらく風の魔法を使う魔獣なのであろう。ラーナは大喜びで『ストリプス』と名前を付け 従魔獣契約を成功させる。彼女の左手の甲に紋様が刻み込まれた。
その次の学生も 魔法陣が 先程よりは弱いが 赤色に光って 中型の犬種が現れた。赤色の光なので 火の魔法を使う魔獣なのであろう。少し喜んだ後『バイト』と名前を付け 従魔獣契約を成功させた。
フローラも 遠くで喜んでいる声が聞こえて来た。嬉しそうだ。
「ちょっと うーん? おかしいわね。魔法陣の故障では無さそうね。あなたは最後にしてちょうだい」
教師にそう言われて 結局 皆が次々と契約に成功する姿を 私はずっと見ていた。
『私だけ また特別?? 何でやねん、、』
残り 私ともう1人の女性1人となった。
「ちょっと じゃあ あなたね」
教師がそう言って もう1人の女性を魔法陣へと案内する。
女性は魔法陣の真ん中に立ち 血を垂らす。すると 魔法陣が 眩いばかりに白色に輝いたが 同時に黒い霧の様な物が立ち込めて来る。
魔法陣から出て来たのは大型のウルフ種であったが かなり苦しそうである。
黒い霧の出現に 周囲が騒つく。
『私と一緒?』
教師が慌てて 大きな声で言う。
「ちょっと あなた 何? 呪われているの? この黒い霧は呪詛ね。召喚された魔獣が。。ちょっと」
「すいません。私は、、実は その、、」
女性は言いにくいそうである。
「ちょっと とりあえず 従魔獣契約をしてちょうだい。早く魔獣を!」
「はい。『カーボラン』」そう言って 名付けると ウルフは「ワオーン」と弱々しいながらも声を出しながら姿が消えて 彼女の左手の甲に紋様が刻み込まれた。黒い霧も少しずつ晴れていく。
『白色の光って事は 治癒系の魔法だな。だけど、、黒い霧? 呪詛?』
「ちょっと あなた 訳有りなのね? 詳しい話を聞きたいわ。ちょっと後で職員室に来てちょうだい。いいわね? お名前は?」
「はい、、シュリーと申します。平民ですので ファミリーネームはありません」
「ちょっと そう。シュリーね。。時々居るのよね。。呪いを背負ってしまった学生がね、、しばらくして 皆んな学園に来なくなるのよね。。じゃ 後程」
教師が 呟く様に言った。
シュリーは そう言われて魔法陣から出る。
「ちょっと それでは 今度こそ あなたね。もう1度 魔法陣に行ってちょうだい」
教師に そう指示され 私は再度 魔法陣の真ん中に立った。先程傷つけた左手の親指の傷を押すだけで 血が出る。私はゆっくり たっぷりと血を魔法陣に垂らした。魔法陣に血が染み込んでいく。
しかし 全く光らない。やはり無反応であった。。
結局 私の右腕の愛メーターは ハート 5個全てが 真っ黒で、、左手の甲には 全く紋様が無い。何も無いのである。
『えーーー!! 私って 黒いだけで無く、、従魔獣契約も出来無いのーー どんだけ特別よーー!!』