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また逢う日まで

作者: 梅野飴

陽の光が朝を知らせる

近頃は体を起こすことすら億劫になった

腰が軋む

鳥の鳴き声が聴こえなくなって久しい

今を生きるこの世界は幼い頃の想像よりずっと静かで 海の底のようで 林の奥にも似た景色


腹は減らずも朝食は摂る 昨晩の残りの白飯に納豆が雪崩れ込む

テレビは彩り多く毒々しい 箸が茶碗を叩く音だけ耳が拾う

麦茶を啜り壁掛けカレンダーを見る

毎週月、木曜は燃えるゴミの日 一月分のゴミを蓄えた袋に納豆の容器を押し込んで家を出る

カラス避けのネットに腕だけ潜らせゴミ袋を滑り込ませる


今日の予定が終わった 終わってしまった

大きくはない広すぎる家へとぽつぽつ帰る

60年前 昭和37年の私が問う 70歳のあなたはどこにいますか 


生きています ゴミを出しています 今日も死ねてはいません


仏壇に線香をあげ 手を合わせる

あの人の好きだった大福を載せる



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― 新着の感想 ―
[良い点] 愛する人に先立たれた寂しさが伝わってきました。ゴミを出して一日の予定が終わりという表現でさらに切なさが増しました。 でもそれでただ絶望しているという感じはしませんでした。寧ろ愛する人にまた…
2022/05/09 21:24 退会済み
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