また逢う日まで
陽の光が朝を知らせる
近頃は体を起こすことすら億劫になった
腰が軋む
鳥の鳴き声が聴こえなくなって久しい
今を生きるこの世界は幼い頃の想像よりずっと静かで 海の底のようで 林の奥にも似た景色
腹は減らずも朝食は摂る 昨晩の残りの白飯に納豆が雪崩れ込む
テレビは彩り多く毒々しい 箸が茶碗を叩く音だけ耳が拾う
麦茶を啜り壁掛けカレンダーを見る
毎週月、木曜は燃えるゴミの日 一月分のゴミを蓄えた袋に納豆の容器を押し込んで家を出る
カラス避けのネットに腕だけ潜らせゴミ袋を滑り込ませる
今日の予定が終わった 終わってしまった
大きくはない広すぎる家へとぽつぽつ帰る
60年前 昭和37年の私が問う 70歳のあなたはどこにいますか
生きています ゴミを出しています 今日も死ねてはいません
仏壇に線香をあげ 手を合わせる
あの人の好きだった大福を載せる