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書状

ただでさえ珍しい組み合わせ。どうしてここに3人が。

私は目を丸くしアメリアがエマに何か用かと彼らに尋ねる様子を隣で黙って見ていた。


「クリスタル帝国から書状が届いたんだけど、君の行方を魔法省に尋ねても知らないと言われたからね」


「それでベンが僕とアルバートにも声を掛けてきたんだ」


「2人は君と仲が良かったからね。けれど2人も知らないと言うから、関所に通達して国外への通過記録がないか探らせたんだ」


どの国に行ったのかまでは分からなくて苦労したけど、すぐに戻って来てくれたから助かったよ。

ベンはキラキラとした外向きの笑顔を見せる。


「何せ急を要する案件だったからね」


そう言って渡された書状を確認すると、そこには。


「え?戴冠式?」


「レオン皇子が皇帝に即位されることになったんだ」


前々から先帝は体調を崩しレオンがある程度執務を行っていたが、先日亡くなられたため正式に皇帝に即位することになったそう。そして私はその婚約者として招待されたと。

アムネス王国に行っている間新聞など情報を仕入れる機会が無かったため全然知らなかった。


「……はっやいな」


隣にいる私しか聞こえないような声量でアメリアがそう呟いた。

驚いた。アメリアでもそんな口調になるのか。


「もちろん僕たちも出席するよ。馬車は僕たちのに乗っていけばいい」


「えーっと……ありがとう?」


ガシッと手を握って来るセドリックの圧に若干引きながら適当にお礼を言う。

即位して正式に結婚するとか言い出さないとも限らないし……いざとなれば僕が……

ブツブツと言っている独り言は聞かなかったことにしよう。


「戴冠式は来週だってさ。それまでにちゃんと準備しとけよ?」


アルバートがセドリックの手を引き離しながらいい笑顔でそう言った。セドリックめっちゃにらんでるけど?君たち結構仲いいんじゃなかった?


「じゃあ一回ウィンチェスターアカデミーに戻らないと……」


特に大した荷物もないけれど、流石にこのままでは行けないしね。

戴冠式ってめっちゃ大事な式典だよね?服って何着ればいいんだろう。というか戴冠式って何するの?大体のイメージはつくけど、マナーとか作法は全然分からない。


「戻るのなら僕たちと一緒に……」


「エマ!ここに居なさいよ!1週間、戴冠式に必要なことを教えてあげる」


ベンの言葉を遮ってアメリアが前に出る。その申し出は私にとっては願ってもないことだけど……


「作法なら僕たちでも……」


「女性と男性では違うでしょう?私は何度も式典やパーティーに出席していますし、この中の誰よりも適任だと思いますが?」


セドリックの言葉をバッサリと切って、結局私は戴冠式までの1週間アメリアの家で過ごすこととなり、勝ち誇った様子のアメリアと不満気に帰っていく3人を見送った。

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