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来客

廊下から忙しなく働く使用人たちの声が聞こえる。

カーテンの隙間から差し込む光に目を開け起き上がろうとすると、視界がぐらりと歪んだのが分かった。そう言えば頭が痛い。あぁ二日酔いか。元の世界ではかなり強い方だったので酔ったことなど無かったが、エマの体はどうもそこまで酒に強くはないらしい。


ベット横のテーブルに置かれた水差しからコップに水を注ぐ。この世界には二日酔い用の薬はあるのだろうか。後でアメリアに聞いてみよう。鏡に映るむくんだ顔を見て流石に飲み過ぎたなと反省する。


コンコンコン


「……どうぞ?」


誰だろうと見てみると、入ってきたのは使用人たちだ。朝の支度の手伝いをしに来てくれたのだろうか?それにしては朝食の時間を逆算しても少し早すぎる時間のように感じるが。


おはようございます、と頭を下げた彼女たちはやはり何か急いでいるように見えた。おかしい。そんな急ぐ用事なんて無かったはず。一体どうしたと言うのか。


「実は、お客様がいらっしゃっておりまして……」


大人しく髪を結われていると、侍女の1人がそう言った。

お客様?こんな時間に?

疑問を持たずにはいられなかった。そもそもこんな朝早くに尋ねるなんて非常識だし、普通は追い返すはず。それなのに追い返さないし私に支度をさせに来た。余程急ぎの用事か、相当の身分の人間が私に用事があると言う事だろうか。


詳しく話を聞こうとするが、彼女たちもそれ以上は良く知らないようで望んでいた返答は得られなかった。……というかどうして私がここにいると知っているのだろう。

突然来ると言えば魔法省だけど、今魔法省は荒れていると聞くしもし内部の混乱に巻き込まれて殺される、なんてことになったらどうしよう。折角解決の糸口が見えつつあるって言うのに。


ぐるぐると悪い想像ばかり膨らませているうちに支度が済んだようで、私は侍女たちに丁寧にお礼を言って案内されるまま応接室へと向かった。


「あぁ、エマおはよう」


途中でアメリアと合流する。

ところが彼女もつい先ほど侯爵から知らされたばかりらしく、見当はつくが誰かは知らないと言う。


2人並んで応接室の扉の前に立つ。

どちらからでもなく視線を合わせると、そのままアメリアがノックをして扉を開けた。開く扉の隙間から見えた人物に私は言葉を失った。


「……え?嘘」


ほとんど接点なんて持ってなかったのに。


「こんな時間に申し訳ない。エマ、それからアメリア嬢」


「ベン?どうして……」


「僕たちもいるよ、エマ」


「俺らには反応してくれないわけー?」


そこにはソファーに腰掛けるベンとその傍に立つセドリックとアルバートの姿があった。

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