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アトランティス

観光地のビーチには大勢の人が海水浴を楽しんでいた。砂浜には大量のパラソルが建っていて、ウェイターたちが忙しなく限定のトロピカルドリンクやカラフルなカクテルを運んでいる。

私たちはその海水浴エリアから離れた人のいない海岸に立っている。この燦燦と照らす太陽の下で、日傘も差さず水着も着ずに海を眺めている私たちを見ている人がいたら、人々はさぞ不思議に思うだろう。


杖を一振りすると私たちの周りに透明な膜が出来上がる。それを確認すると、私たちはこの青く透明な神秘の海へと一切戸惑うことなく飛び込んだ。

浮力を軽減する魔法も掛けてあるので、私たちの体はどんどん海の底へと沈んでいく。軽く動いて方向を調整すると、ものの数分でそこへとたどり着いた。


アトランティスと呼ばれる海底都市。ネーミングセンスは流石日本の乙女ゲームと言ったところか。

元々はアムネス王国の第2の首都と呼ばれたが、地震とその津波によってあっけなく沈んでしまった。調査が進んでいないのは、この世界では潜水艦を作る技術が進んでいないのと、調査をするだけの時間海に潜るだけの魔法が使える人間がほとんどいないからで、多少崩れてしまっているもののほとんど風化することもなく世界に現存する海底遺跡の中でもかなり状態がいいものに分類されるだろう。


ラーハの神殿と違い、ただの都市なので侵入者を拒むような魔法も掛けられておらず、中心街を通り宮殿と思われる場所にたどり着くのは容易だった。


『間違いないわ。強い魔力を感じる』


海底に潜ってからつけたティアラからリーシェの声が聞こえる。了解、と返事をするがアメリアには彼女の声が聞こえておらず何のことかとキョトンとしている。


「とっても綺麗なお城ね」


壊れた扉から中へ入ると、真っ暗な道を照らすため魔法で明かりをつける。女神の銅像や調度品。全てが残っているわけではないが、どれも一目見れば高級だとわかるものばかりで、むしろこの錆やコケが神秘的な魅力を上乗せしていた。


肖像画の飾られた広間を抜けると、そこには謁見の間のようなものがある。第2の都市と聞いていたからこの城はバカンス用かと思っていたが、普通に執務や公務も出来るように作られているらしい。庭や書庫と思われる場所など一通り回ったが、目当ての輝石の宝珠らしきものは見当たらない。


「本当にここにあるの?」


「リーシェもあるって言ってるし、あるはずなんだけど……」


2週目に差し掛かろうとしたとき、突然リーシェがティアラから飛び出した。


『こっちよ!こっちから気配がするわ!』


しかし、彼女が指さした方向はどう考えてもただの廊下だ。

私が困っていると、アメリアが「どうしたの?」と顔を覗き込んでくる。


「リーシェがこっちに宝珠があるって言うんだけど……」


私はリーシェと同じように廊下を指さした。

魔法の痕跡もないし、隠し通路になっているのかと押したりしてみるが何の反応もない。


「あぁ……ここだったっけ?別に探索要らないよね」


彼女は壁に向かって何かの呪文を唱えた。

すると、何もない壁から模様が浮き上がり扉が現れる。



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