本戦男子決勝戦
アナウンスと共に選手が入場する。
ウィザードシューティングには各学校の中でも特に優秀な者が出場する傾向がある。つまり、決勝戦ともなれば次の時代を担うエリートたちが揃うと言っても過言ではない。そのため本戦のウィザードシューティングは他の競技とは一線を画す盛り上がりを見せていた。といっても、観客の注目はたった3人に絞られている。
アルバート・グレンジャー。
昨年はファーストポイントとパデルテニスに出場し好成績を収めた。団体戦のフラッグサバイバルにも出場し、その実力は折り紙付き。今年はウィザードシューティングに絞り出場していることから観客からの期待も大きい。
セドリック・バートン。
昨年と同様ウィザードシューティングとパワーサープレッションに出場。2年生ながら3年生を押しのけこの2種目に出場し、先ほどのパワーサープレッションでは準優勝2位という素晴らしい成績を残した。昨年の新人戦では圧倒的な点差をつけウィザードシューティング優勝を果たした。間違いなく優勝候補と言った様子だ。
そして、レオン・ベネディクト。
今回の開催地クリスタル帝国の第一皇子であり、一般客の半数は彼を応援していると言っても過言ではない。ウィザードシューティングとパワーサープレッションに出場しており、先ほどのパワーサープレッションではセドリックを破り見事優勝を果たした。どうやらウィザードシューティングも勝つ気満々のようで、1人余裕に観客に手を振っていた。
『只今より、男子ウィザードシューティング決勝戦を行います』
うるさかった会場が緊張に包まれる。
『第1ピリオド開始まで、3・2・1』
ピー!という合図とともに、選手たちの箒が宙へと旅立ってゆく。
「「インバー・ルーチェンス」」
刹那、空から輝く雨が降り注ぐ。昨年私が使った魔法だ。セドリックも使っていたが、去年よりその精度は圧倒的に上がっている。この様子なら優勝はセドリックで決まりだろう。そう思った時。
「あの雨、2色ないか?」
観客の1人がそう呟いた。
私はまさか、と思って空を見上げる。
そこには赤と紫の光の粒が雨のように降り注いでいた。
急いで得点版を見ると、3位のアルバートを大きく引き離してセドリックとレオンの得点が次々と加算されている。間違いない、あの魔法を使ったのはセドリックだけでは無かったのだ。
2人はどんどん3位との差を広げていく。しかし、肝心の2人は全く開かないまま第1ピリオドが終了した。
他の選手の戦意がどんどん失われていく様子を横目に、彼らに目線を移すと、何やらレオンがセドリックに話しかけていた。
「なぁセドリック、提案があるんだが」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
最近物語の構成上文字数が安定していませんが、大体1500くらいになるように心がけております。長かったり短かったりあるかと思いますがご理解いただけると幸いです。
そう言えば、今日でちょうど連載開始から半年が経ちました。本来なら3ヶ月くらいで終わると思っていたのですが、どこで間違えたのでしょう(笑)しかも先日新しいスマホに変えたところ、メモが丸ごと消えてしまって張っていた伏線やこの世界の魔法観や理論が全て消えてしまいました……大体は頭の中に入っているのですが、細かいところで私自身が間違えないか不安です(笑)
この半年間、色々なことがありましたがそれでもこうしてほぼ毎日更新できているのは読者の皆様のおかげです。こんな拙い文章を読んでくださりありがとうございます。そして、この作品はまだまだ続きます。これからも応援してくださると幸いです。
よろしければ、ブクマや評価、レビューや感想などよろしくお願いします。
最後になりましたが、これからも『ヒロインって案外楽じゃないですよ?』をよろしくお願いいたします!




