招待状
傷つくなぁと笑う声が聞こえ振り返ると、そこにはレオンとリヴィエール兄弟の3人が歩いてこちらに向かっていた。
そうか、そういえばウィンチェスターの後はクリスタルカレッジの番だったっけ?
「お久しぶりです。レオン皇子」
「あ……あぁ」
彼の姿を認識した瞬間、エリザベスはサッと私たちの間を通り抜けレオンに向かって深いカーテシーを捧げた。恭しいその態度にレオンは戸惑いながらも返事をする。
ここは学校行事の一環だし身分なんて関係ないでしょ、と挨拶をしようともしないエドガー、ルーカスそして私。
彼はそんな私たちを見てハハッと笑った後、絢斗とベンに話しかけた。
そう言えば2人共この間までクリスタルカレッジに居たんだよね。まぁ絢斗の方はお城に居た時間の方が長いのかもしれないけど。
「ここに来たってことは、彼らがクリスタルカレッジのトレジャーハントの代表なんでしょうか?」
「……僕は情報を流したりしてませんよ」
「別に聞いてないですけど」
エドガーはわざとらしく横を向いた。
あ、コレ絶対黒じゃん。私がトレジャーハントに出るって言ったな?マジックバトルロワイヤルに出られたら困るって言うのもわかるけど、仮にも生徒会長が普通に情報漏らすなよ。
「そう言えばエドガーセンパイ。クッソ忙しい中わざわざ手紙書いてたなぁ?誰にかは知らないが、確か送り先はクリスタル帝国だったような……」
「誰に書いてたんです?」ルーカスがわざとらしく彼に問いかける。
この表情は人を強請ろうとしているときの表情だ。きっと彼はこの後ルーカスに何かを奢らされる羽目になるのだろう。
「そろそろ僕たちの時間は終わりです。皆さん、ホテルに戻りますよ!」
エドガーはパンと手を叩いて城から出て行こうとする。
まだ言ってやりたいことがあったがついて行かないわけにはいかないので私は急いで彼の後を追いかける。他のメンバーたちもその様子を見て出口へと急いだ。
「エマ!」
いきなり呼ばれて振り返ると、レオンがこちらに向かって歩いてきた。
それを聞いた他の人たちも歩みを止めて振り返ると、目の前にやってきていたレオンの横からノエルが一通の手紙を差し出した。
「次のパーティーの招待状だ」
レオンの婚約者として出席しろ、という事だろう。
まぁ約束だし、と私はそれを黙って受け取った。
「魔法競技大会が終わる前に確認しておけよ」
「……?」
レオンとその横の2人がニヤニヤとしているのが釈然としなかったが、こちらに興味をなくしたエドガーがスタスタと歩いて行ってしまったので私も他のメンバーもそれ以上の会話はせず古城を後にした。




