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下見

「先輩方の戦略に関する資料を見せていただけますか?」


彼女は淡々とそう言った。

新人戦の方のトレジャーハントは苦戦しているそうで、作戦立案担当の彼女が本戦の戦略を参考にしたいらしい。


まぁエドガーからも新人戦の方も気に掛けるようにと言われているし、と私は彼女にそれに関する資料を渡した。


「ごめんなさい。私エドガー先輩に渡さなきゃいけない書類があるので……」


詳細を聞きたいであろう彼女には申し訳ないが、書類を渡しに行かなければエドガーに小言を言われるのは私なので、私は彼女を置いて研究室に向かった。何か聞きたいことがあれば後からでも聞いてくるだろう。


「あ、もういないか」


私がエドガーに書類を渡して生徒会室に戻ってきたときには既に彼女の姿は無かった。特に質問などは無かったのだろうか。まぁ主席の彼女なら聞かなくてもわかってしまうのだろう。

実際の魔法式や解除コードなどは書かれていないが、どういう魔法を使うのかが分かれば彼女もそれを参考に戦略を練るだろうから。


それにしたってもう少しゆっくりしていけばいいのに。

そんなに私のことが苦手なのだろうか。私の脳は勝手に今日の自分の行動についての反省会をしていた。


「よし、次はもっと距離を詰めてみよう」


けれどその次の機会は中々訪れないまま、気が付けば大会前日になっていた。

バトルロワイヤルとは違い、トレジャーハントは基本的に勝負は事前の準備で決まるので新人戦のメンバーと共に練習することがまずないのだ。2日前に古代魔法と現代魔法のかけ合わせが成功して以降、新人戦のことはすっかりエドガーに任せっぱなしでその間私はルーカスと作戦の最終確認と調整を行っていた。


そして大会前日の今日。私たちは今年の魔法競技大会の会場に到着した。

今年は去年使っていた会場がリニューアル工事中のため、クリスタル帝国にある大きな帝国ドームで行われることとなった。

どの学校も今日選手が到着するようで、ドーム近くのホテルはそれぞれの学校の制服で溢れていた。


私たちも荷物を持ってホテルの部屋へと向かう。

この後各学校が順番に当日の試合会場で下見や少しの時間リハーサルが出来る時間が設けられているのだが、なんとウィンチェスターアカデミーは最初なので急がねばならない。

私たちは急かされながら荷物を運び会場へと向かった。


個人戦の方は特に気にしていないので、私は真っ先にトレジャーハントの会場へと向かった。

図面で見ていた時との違いや何も魔法を掛けられていない状態の建物の様子をじっくりと観察する。会場はドーム近くにある古城で、当日は去年のフラッグサバイバルやトレジャーハント同様中継される。


「特に気になる点は無いな」


「そうだね……っと!」


「おい気を付けろよ」


「あ、ありがとう」


ルーカスは段差につまづいた私の腕を掴み、転ぶ寸前で支えてくれた。

ありがたいけどそのまま私の頭をぐりぐり撫でるのはやめて欲しい。エドガーは呆れてるし、絢斗は死んだ目でこちらを見つめている。エリザベスは相変わらず敵意むき出しだし、ベンはなんだか面白いと言った様子でこちらを観察している。

みんなしてそんなジロジロ見るくらいなら誰か何か言ってよ!そう思うが、誰も声を発することは無かった。


「おいおい、また浮気か?」

ここまで読んでくださりありがとうございます。

魔法競技大会編、2回目はあっさり書こうと思っていたのに、気が付けば1回目よりも長くなりそうです(笑)

今回は個人戦はメインではないのでそこに関してはあっさり書こうと思っているのですが、準備やそれ以外のところで書いておきたい話が多すぎて結局長くなってしまいました。。。

2回目ではありますが、1回目とは準備を含めて全然違うところを感じていただけたら嬉しいです。その部分はエマの成長であり、この1年で築いてきたものによる変化なので。

魔法競技大会編はもうしばらく続きますが、それが終われば少し穏やかな休憩的な話が書けたらいいなと思っています。エマは働き詰めなので(笑)

これまで160話以上書いてこられたのは皆様の応援のおかげです。ブクマ評価、感想レビューお待ちしております。

ではこれからも『ヒロインって案外楽じゃないですよ?』をよろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] エリザベスちゃん、仲良くなったら意外とデレたりするのでしょうか。その場合ツンデレさんですね。色々しているうちに気付けば大会前日。ルーカス君とのラブイベント(仮)に浮気発言。浮気と堂々と言え…
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