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来客

月日はどんどん過ぎてゆき、気が付けば魔法競技大会まで残すところ1週間となっていた。

しかし、未だ重ね掛けの魔法は完成しておらず研究はやる気満々のエイド、ルーカス、エドガーの3人に任せ、私は当日使うであろうそれ以外の魔法や作戦の準備を進めていた。


基本的にトレジャーハントの作戦はプランAからCまでの3種類を作るのがメジャーだ。やはり相手のいる競技なので、それぞれの状況に合わせてプランを練る必要がある。どれも綿密に計算してどのような状況になっても勝てるようにするのだ。

私はこの期間にプランAからEまでの5種類を用意した。全てのプランを合計した時の使用魔法数は37個。しかし、これでも本当は少ないくらいでエドガーなんかは研究さえ成功すればすぐにでもプランを練れるのにと嘆いていた。


もちろん原案は私だが、たくさんの信頼できる人に目を通してもらい必要な部分には修正を加えている。正直この種目は魔法よりもどれだけしっかりプランを練るかで勝敗が決まるので、忙しかろうと妥協は許されない。


大筋の5つのプランが出来たら、次はさらに細かいシチュエーションを想定した作戦を練る。

例えば、他のチームと鉢合わせたときや何らかの原因によって建物が崩れ進路をふさがれた時、誰かがリタイアした時など競技の大筋とは関係ない想定外の場合を想定するのだ。


「とりあえずこれくらいかな」


ひと段落し周りを見渡すと、机の上はたくさんの魔法書で溢れていた。

私は去年のフラッグサバイバルの時とはまた違った忙しさにため息をついた。肉体的には割と元気なんでけど、精神的に疲れるんだよね。


「あ、いけない。この書類届けなきゃ」


私は机の上に置いたままの書類に目を向けた。さっき学生部の先生が持ってきたもので、今日中に生徒会長からのサインが必要だと言っていた。忘れないうちに届けようと足早に生徒会室の扉を開け研究室に向かおうとすると、ちょうど扉を開けたところで誰かとぶつかった。


「あ、ごめんなさい!」


「いえ……」


「って……エリザベスさん?」


扉の前に立っていたのはエリザベスだった。セドリックに会いに来たのだろうか?それともトレジャーハントについてだろうか?


「何か御用ですか?」


私はにこやかに笑って出来るだけ優しい声で問いかける。既に嫌われてしまっているのは知っているけれど、せめてこれ以上嫌われるようなことは避けたい。

けれど、彼女は気まずそうに下を向いているだけだった。


「セドリックなら研究室にいますよ。私もちょうどそちらに行くのでよろしければ……」


「いいえ、わたくし貴方に会いに来ましたの」


彼女は小さいけれどはっきりとした声でそう言った。

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