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乙女の嫉妬

従妹。つまりはバートン家の分家的な感じか。

バートン公爵家はセドリックが継ぐことになっているから、おそらく彼のお父さんの弟か妹の血筋に当たるのだろう。


「そうだったんだ」


で。それがどうなれば私の話になるのだろうか。

まぁ彼女がセドリックに恋してるのかなぁくらいの見当はつくけど。


「リズ、どうしてこんなことしたんだ。ちゃんとエマに謝るんだ」


「だって……セドリック兄さま、ウィンチェスターに行ってから全然かまってくれなくなったじゃない。ウィンターホリデーで戻って来たって聞いて屋敷に行こうとしたら断ったじゃない!使用人から聞いたわ。兄さまがエマ先輩を家に招待したって」


別に行ったのは私だけじゃないんだけど。エリカやアルバートもいたし。


「私、いつかセドリック兄さまの隣に立つって決めて、今までたくさん頑張ってきたのよ?それなのに……こんなぽっと出の女に……」


ぽっと出の女って。一応先輩なんですけど。

というかこの世界って従妹同士結婚できるの?あ、元の世界でも従妹ならオッケーだったっけ。

この様子だともう初恋からセドリックなんだろうな。一途で可愛いじゃん。自分が巻き込まれなければそう思っていたに違いない。


それから彼女は泣き止む様子がなく、話を出来るような状態でもなさそうだったので、セドリックが寮まで送っていった。謝罪は改めてさせると言っていたけど、別にそんなことは望んでいない。

睨んだり敵意むき出しにしてくることなく普通に接してくれればそれでいいのだ。


「今年は穏やかに終わるかと思ったけど、そうもいかないか」


2人が出て行った後の静かな会議室に私の声が反響する。誰もいないからと置いてある椅子に思いっきりもたれかかる。疲れた。まさかこんな展開になるとは。バートンって名乗ってた時点で気づくべきだったな。


まぁ起きてしまったことは仕方ない。

せめてこれ以上面倒な事にはなりませんように。


「あ、やばい。この後エドガー先輩たちと研究進める約束だった!」


今日はインターン中のエイドも時間を作ってくれてインターン先からテレビ電話でアドバイスをもらうって話になってたから、絶対に遅れるなって言われてたのに。


「えっと、約束は18時で今は……18時15分」


お願い神様助けて神様。

どうかルーカスも忘れて遅れてますように。

ていうか私悪くないよね?巻き込まれただけだし?

エドガーだってエイドだって事情を説明すればきっと……


「とりあえず早く行かなきゃ」


私は全速力で廊下を駆け抜けた。

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