よくわからない特訓
『だって、私も精霊よ?契約してるんだから近いに決まってるじゃない』
そう言えばリーシェの存在って精霊みたいなものなんだっけ?確かにその理論で行けばそうなる。
『今の魔法師は皆精霊との親和性が無いの。だから魔力で無理やりやってるでしょ?エマには元々才能があったのと、私と契約したからそれがもっと強くなって使えるようになったって感じ?』
なるほど、なら綾斗も親和性をどうにかして培うことが出来れば古代魔法が使えるようになる、っと。
そこからは大変な日々だった。
「見える!?」
「全然……」
「頑張れ!もっと心の目を開けて!」
「はぁ……」
彼にも何とかリーシェの存在を認識させようと正しいのか正しくないのか良く分からない方法を試し続けた。
「あ、エマ」
「なに……あ」
しかし、その甲斐あったのか魔法競技大会の選考会が始まる1週間前にはある程度の基礎的な古代魔法をマスターし自分の意思で操れるようにまで成長したのだった。
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「とはいえ本戦に出場できたのは見たことない魔法にみんなが戸惑ったのと普通に絢斗のテニスの腕がプロ並みだったからなんだけど……」
「……?まぁいいでしょう。優秀な生徒がいることは喜ばしいですから」
エドガーはよくわかっていないようだったが、特に詳しく聞いてくる様子もなかった。
「それより……僕たちもそろそろ作戦を練らないと」
「そうだな」
今年のトレジャーハントの会場図は既に公開されており、隠す順番は当日くじ引きで決まる。
そのため当日までに隠す場所や使用魔法をあらかじめ決めておくのがセオリーだ。
「ダミーの魔法はいいんでしたっけ?」
「えぇ、探知系や攻撃系の魔法でなければ」
宝を隠すと言われて最初に思いつくのは、認識阻害魔法と幻影魔法。正直私の魔力量なら会場ごとレセプテイトしちゃえば大体の魔法は解けるんだけど。しかし、魔法は解除コードで打ち消さなければならないのでめんどくさい。
「絶対に解かれない魔法を作って、宝探しはある程度他のチームに任せるのもアリだな」
「確かにどちらにも力を入れるのは簡単ではありません」
この種目は戦い方が大きく2つに分けられる。
1つはルーカスの言うような、防御に力を入れて宝探しは他のチームに任せる戦い方。探す能力が乏しくても隠した宝が見つかりさえしなければ負けることは無い。
そしてもう1つは、隠すことには力を入れず自分のチームが見つけられる前に他のチームの宝を全て回収してしまうこと。
「エマさん。去年エイド先輩と研究していた魔法のデータはありますか?」
「あ、はい。全部残しています」
「見せてください。使えそうなものが無いか探します」
順調とは言えないが、こちらは何となく進んできた。
今1番の問題と言えば……
「エドガー先輩、また揉めたそうですよ……」
「またですか……どうして仲良くできないんでしょうね。あの2人は」




