校内選考会
「何とか間に合いましたね……」
「……寝ていいですか?」
「ダメに決まってるでしょう」
魔法競技大会、校内選考会当日。
私たちは活気に満ち溢れた生徒たちに反して疲れ切っていた。
選考会は観戦などは基本気にしていないので基本的にどんどん出来るものから行われる。フィジカルダービーのような記録を競うものは各選手が1人ずつ行い上位3名ほどが代表として選ばれる。しかし、パワーサープレッションのような対戦型の競技はトーナメント形式で選ぶほか無いので、誰と当たるかという運の要素も関わってくる。
流石に本戦の方は今までの代表者同士が序盤で当たるなんてことにならないように配慮はしているが、やはりそれでも不運な人や幸運な人というのは出て来る。
「……え、棄権ですか?」
「えぇ、先ほど行われた別の競技で怪我をしたそうです」
ちなみに私は幸運?な方なのかも知れない。
パワーサープレッション初戦同じ2年生と当たり勝利。それ以降もほとんど対戦するのは2年生。最後の決勝では相手の3年生が他の競技で怪我をしたらしくそのまま繰り上げ優勝となった。まぁ決勝に進んだ時点で代表入りは決まっているから無理して出る必要もないっちゃないか。
「エマ、お疲れ様」
「あ、セドリック。お疲れ様」
どうやら男子の方は終わったらしい。同時進行なので全く見れていないが、会場のスクリーンに流れてくる代表選手を見ると、どうやらセドリックは2種目とも代表入りを果たしたようだった。
「これにて女子のウィザードシューティングは終了です。上位3名が魔法競技大会出場となります」
「あ、通った」
どうやらウィザードシューティングは最後の組が終わったらしく、スクリーンには上位3名が映し出されていた。
しばらくすると、すべての競技が終了し、選考会は滞りなく終わった。あとは私たちが代表選手を集計して、団体戦のメンバーを決めたり連絡事項などを伝えれば終わり。
生徒会室に戻ると、ヘトヘトだった一般生徒とは違って、みんなとても元気だった。何なら朝よりも。流石は生徒会に選ばれる実力者という事だろうか。私を含め全員が出場した2種目ともで代表入りを果たしている。
「今年の1年生はどうだったんですか?」
私たちはそれぞれ担当を分けて集計作業をしていた。
新人戦女子はエドガー、男子はアルバート。本戦女子はセドリックで私は男子の集計作業をしている。代表選手のクラス学年、そして選考会での映像を分析してそれぞれの能力や得意な魔法などを選手情報に書き込み、2年以上連続で出場している場合は昨年度以前の選手情報や大会結果なども照らし合わせて選手情報を作っていく。ちなみにこの担当分けになったのは自分の情報を自分で分析は出来ないからだ。
私はパパっと情報を集め集計作業を進めていた。本戦なんて基本出たことのある人ばかりなので前の資料を見てスタイルや魔力量などが変動すれば書き込み、そうでなければほぼコピペで事足りる。
……へぇ。通ったんだ。良かった、特訓に付き合った成果はあったらしい。
「……あれ?」
集計をしていると、見覚えはあるが絶対にここにはいないはずの人間の名前が記されているのに気づく。何かの間違いだろう。そう思って映像を見ると、確かに出場している。
……嘘でしょ?
『ベン・ヘンダーソン』その名前に私は目を見開いた。




