セドリック
「えっと……久しぶり、セドリック」
「僕も一緒にいいかな?」
「うん。もちろんだよ……」
彼は私の隣にドカッと腰掛けた。
何やら面倒なことになりそうだと察したエドガーは、僕は厨房の様子を見てきますと言って席を立った。
「1ヶ月ちょっとぶりだね、エマ。一体……」
君はどこで何をしていたの?
セドリックは珍しく、真顔で問いかけてくる。美人の真顔は怖いって言うけど、まさにそれだ。正直に答えるわけにもいかず、私はえーっと、と何とか目線をずらす。
「インターンだって。魔法省なら簡単には話せない。大臣にまで圧掛けたのに聞けなかったんだぜ?エマちゃんが話せるわけないじゃん」
アルバートが思わぬ助け舟を出してくれた。
けれど、セドリックはそれすらも気に入らないのか、どんどん表情が消えていく。
「ふーん。じゃあエマ、テスト勉強は僕が教えてあげるよ。あと、プロムは僕と踊るよね?」
「えーっと……」
「セドリックは今からプロムの準備で忙しいだろ?テスト勉強なら俺が教えてやるよ。あと、プロムはエマちゃん出られないかもってさっき言ってたぜ?」
「……アルバートには聞いてないんだけど」
「そりゃ失礼。なんせエマちゃんが困ってたみたいだったから」
「僕はエマと……」
あぁマズい。というかめんどくさい。
これってゲームのせいなのかな。もしかして知らない間に彼らの好感度上げちゃった系?
テスト勉強は自分で頑張るしかなさそうだな……
「ごめん!私先生にテスト範囲とか色々聞きに行かなきゃいけないからまたね!」
今にも言い争いをし始めそうな彼らに私は返事をさせる間さえ与えず、その場を去った。
彼らには申し訳ないけど、私は今それどころではない。
行ってしまった以上職員室に行かないのも何なので、私はそのまま職員室に直行し、いなかった間の授業や今度のテストについて尋ねた。
結果、私は絶望に押しつぶされそうだった。
テスト範囲の勉強が全然できていないのはもちろん、評価対象になる課題やレポートの多いこと。
なによこの課題図書、1000ページくらいあるんですが?あと2週間でこれ読んでレポート出せって馬鹿じゃないの?
そう言っても仕方ない。だってやるしかないんだもん。
こんなことならだれか教えてくれそうな攻略対象以外の人を見つけておくんだった。
結果、彼らも利用するであろう図書室は使いづらく私はひたすら自室に籠って2週間勉強漬けとなったのだ。




