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まさかの事件

……は?翡翠の剣が無くなった?

まさか。


「それ本当なの?」


「朝練習しようとした一条君が校長先生と保管室に取りに行ったんだけど、その時にはもうなかったんだって」


私は隣の一条の席を見る。そこには彼の姿はなく、クラスメイト達曰く事情を聞くため呼び出されているという。

昨日返しに行ったときは確かにあったよね。あの時部屋の魔法にも異常は無かった。

誰かが部屋に入ればわかるし、いつでも駆け付けられるよう私は準備をしていたはず。


それなのに。盗られた?


「エマ・シャーロットは来ているか?」


「あ、はい」


担任の先生がガラガラとドアを開けて入って来る。先生は今日の1限は自習だと言った後、私に職員室に来るように指示した。


「シャーロットさん。貴方は昨日、一条君と一緒に翡翠の剣を返しに行ったのよね」


「はい」


「何かおかしいと思うところや心当たりはある?」


私の魔法が効いてないのは明らかにおかしいと思います。

そう言えたらどんなに楽だろうか。


「……いいえ」


「そう」


そう言えば保管室の気配を感じない。

今の私は魔法で常に保管室と感覚を繋いでいるようなものだから、意識すれば感じるはずなんだけど。……まさか、ね。


「あの、保管室を見に行きたいんですけど……その、何か思い出すかも」


けれど、それは許してもらえなかった。

この後警察が窃盗事件として現場検証に入るため、むやみに入ることは出来ないのだとか。

魔法警察ならいいけどさ。ほぼ間違いなく普通の警察が来るだろう。

対外的には普通科高校にあるちょっと歴史があるだけの儀式用の道具なのだから。


その日は結局先生たちが事件の調査や儀式についての会議に追われ、授業にならなかったため私たち生徒は早々に下校することになった。


「はぁ……これは報告しないとだよね」


怒られるとか以前に、私はどうするのが正解だったのかこれからどうするべきなのか。そういう事で頭はいっぱいだった。

家に帰ると、私は緊急用の端末から連絡を取る。さっき普通のスマホからでは通じなかったから。


「どうした?」


「潜入の件ですが、剣が何者かに盗まれてしまいました」


「……は?」


電話に出たのはベノさんだった。私は彼に出来るだけ簡潔に、けれど丁寧に情報を伝える。


「……そうですか。分かりました」


すまないが、今こちらも緊急事態で手が離せないんだ。職員を数名そちらに送る。それまでは君の方で調査を続けてくれ。


反魔法組織が大暴れのバーゲンセールらしい。

重要案件に人を割けないって、よっぽど忙しいんだろうな。


「とりあえず、現場見に行かなくちゃ」


私は昼間入らせてもらえなかった現場に向かうことにした。やっぱり見てみないと分からないし。

私は認識阻害魔法を使って学校に潜入する。

保管室に入るまでには沢山の監視カメラや捜査員が残っていたけれど、私には何の問題もない。こればかりは魔法の優越を感じずにはいられなかった。


「やっと着いた」


保管室に入ると、そこには何のセキュリティーも張っていなかった。入るまでは大変だったけど、入ってしまえば楽々だな、と思いながら私は魔法を解く。

そして、魔法を解いてすぐに異変に気付いた。


「私の魔法が消されてる」


私が保管室に掛けていた魔法は跡形もなく消え去っていた。

何者かが意図的に解いたとしか思えない。それもかなりの腕の魔法の知識を持っている人間だ。


『エマ』


「リーシェ、どうかした?」


ティアラから出てきたリーシェは部屋をぐるりと見回す。

そして「この魔法知ってる」と、翡翠の剣が置いてあった場所を指さす。


『これ、ウチの国で使われてた魔法にそっくりよ』


完全に同じではないけど。

彼女の出身地である古代魔法都市ラーハは現在ではほとんど記録が残っていない。古代魔法の祖であるラーハの魔法に似ているということは間違いなく犯行には古代魔法が使われている。けれど、彼女曰く現在使われている古代魔法とラーハの魔法では微妙に違うらしい。そして、これはラーハ側の魔法だと。


こんな偶然が簡単に起きるわけがない。おそらく犯人はセプターの窃盗犯、先の件の犯人と同一人物に違いない。私は彼女にこの部屋に使われた魔法を特定して欲しいと頼み、また私も出来る範囲での解析を始めた。

ここまで読んでくださりありがとうごさいます。

なんと、この作品はついに10万PVを突破いたしました。近日中にユニーク数も1万5000を突破する見込みです。正直大きな数字すぎてよくわかりませんが、たくさんの方に読んでいただけてありがたいです。

本編では攻略対象が出てこない話が続いておりますが、この後もしばらくあまり出てきません(笑)楽しみにされている方には申し訳ありませんが、もう少しお待ちください。気が付けば130話を突破し、いよいよ長編小説になってまいりました。最初は長くても50話くらいと思っていたのですが、書き始めると書きたいことが多すぎて終わりません(笑)

この潜入任務編が終われば、もう1つ短めのみんなが出て来るお話を挟んで、いよいよエマ達は進級いたします!(多分)今はまだ触れられていないキャラクターたちにも焦点を当てたいと思っていますので、お楽しみに!

最後に、ブクマ評価などいただけますと作者が喜びます。よろしければぜひ。

これからも『ヒロインって案外楽じゃないですよ?』をよろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔法が消されているとなるとどの段階で消されたのか、その時アリバイのない人は誰かがわかれば特定できなくはないのでしょうけど、エマちゃんの関わりのある人でないと確認のしようもないのでなんとも言…
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