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ティアラ

魔法省に戻るとそこには研究者やサリムを始めたたくさんの人たちが私たちの帰りを待っていてくれた。会議室に着くと、ヒューゴが今回の件について報告をした。

サリムや研究者たちによると、私を最後として被害者は居らず、私が懸念していた魔法競技大会であのカードを買ったことが疑われる事例も無かったそうだ。これから幸運のタロットカードは魔法省が回収するらしい。


「してお主。それはなんじゃ」


会議が終わると私はサリムに声を掛けられた。

それ、と言うのは私がつけているティアラの事だろうか。


「ティアラです。先ほどの報告でもあった通りラーハ神殿にて見つけました」


「なぜティアラを君がつけている?」


「えっと、それは……」


「サリム様。これは先ほど説明した通りで……」


セドリックが私たちの間に入ってきた。

どうして怒られているのだろう。私はサリムの言動が理解できなかった。


「お主知らんのか?ティアラは半冠とも称される権力の象徴じゃ。それを王家とは何のかかわりがない君がつけるのは反逆罪に問われても文句は言えんぞ?」


その言葉に私はハッとした。

元の世界ではウェディングの時など王族貴族関係なくアクセサリー感覚でつけていたものだから、普段使いにはちょっと大げさなアクセサリーとしか思っていなかった。

バリバリの身分制が現存するこの世界でティアラと言うのは大きな意味を持つ。


でもどうしよう。

彼女はティアラを身に着けていなければ効果は無いと言っていた。

セプターを探すのならティアラは常につけておく必要があるし……


「それについては考えがある」


それだけ言うとヒューゴは他の人に呼ばれて別の会議に行ってしまった。

私たちはサリムについて行くよう指示され連れて来られたのは被害者たちの安置されている施設だった。


結論から言うと彼らは誰一人として助からなかった。

数々の魔法医師や研究者たちが手を尽くしたが、やはり1度空になってしまった魔力は大量の魔力が無ければ蘇生できない。助けるには他の誰かが犠牲になる。サリムをはじめとした人たちは私たちには何の責任もないと言ってくれたが、私には犯人すら見つけられなかった自分が悔しくて仕方なかった。


この事件を解決して皆を助けるのが私たちの仕事だったのに、結局私たちがやったのはラーハ神殿に行った、ただそれだけ。

この事件はとりあえずはこれで終了となり、後は魔法省の研究者たちによるタロットカードや遺体の解析作業になる。原因がある程度解明され、被害者がこの件ではこれ以上増えないと思われる以上、もう終わりなのだそうだ。


悔しかったのは私だけではなかったらしく、セドリックもルーカスも機会に繋がれた遺体を見ながら何かつぶやいていた。

私たちは今日中に本部に戻るらしい。何でもヒューゴには既に次の案件が控えているのだそうだ。


私たちはそれからヒューゴが呼びに来るまでずっと遺体を見つめていた。

目に焼き付けておこうと思った。私たちが助けられなかった彼らの存在を。


「そろそろ戻るぞ」


会議が終わったヒューゴと共に瞬間移動用の魔法陣に向かう途中、私は先ほど彼が言っていた策について尋ねた。


「そういえば、先ほどおっしゃっていた考えとは何ですか?」


するとヒューゴはあぁ、と言って平然と言い切った。


「君には婚約してもらう。エマ・シャーロット」


その言葉に私は驚きすぎて声すら出ない。

セドリックとルーカスも静かに目を見開いていた。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

なんと、この話を持ちまして「ヒロインって案外楽じゃないですよ?」は100話目に到達いたしました!

まさか自分でも100話まで書けると思っていなかったので驚きとともにここまで読んでくださった方への感謝でいっぱいです。

ブクマに評価、感想やレビューなど本当にありがとうございます。皆さまの応援が1番の支えです。

もしまだされていない方いらっしゃいましたら、この下の星を押すと評価できます。頑張れよと思ってくださった方は是非よろしくお願いします。

ここから展開もどんどん進んでいきますので、これからも「ヒロインって案外楽じゃないですよ?」をよろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 婚約!?誰と、、?もういっそハーレム状態にしたほうがみんな幸せなのかもしれないです。 [一言] 100話突入おめどうございます!!どんどん話が進んでいってとても楽しいです。是非完結まで見届…
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