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完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
日常ノ怪②

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二十五、ゴミ箱と少年

 翌日がテスト期間最終日、というところへ来てタケシの集中力は底をつこうとしていた。

 明日は苦手な数学のテストが控えているというのに、いくら問題集とにらめっこしても一向に手は進まなかった。


 鼻をかんだちり紙をゴミ箱に向けて放り投げる。

 狙いはわずかに外れ、ちり紙はゴミ箱の右十センチの所に落ちた。

 小さく舌打ちをして椅子から立ち上がってゴミを拾う。


 タケシは悔しくなったのか、ちり紙を持って椅子に戻った。

 そして、それを再びゴミ箱に向けて投げる。

 今度はゴミ箱のわずか手前に落ちた。

 こうなるともうヤケだった。




 ゴミ箱に嫌われているのか、微妙にコントロールが外れたり、ゴミ箱の(へり)に弾かれて床へ落ちたりと何度やっても上手くいかない。

 それがテストの結果を暗示しているようにも思えて、躍起になってちり紙を投げ続けた。


 奮闘すること十分。上手くいかない苛立ちをゴミ箱そのものにぶつけようと、肩をいからせてゴミ箱へ歩み寄る。

 手始めに床に落ちていたちり紙を踏みつけようとした時だった。

 ゴミ箱から白い手がぬっと伸びてきてちり紙を掴むと、ゴミ箱の中へと戻っていった。


「うえっ!?」


 驚きのあまり腰を抜かしたタケシが恐る恐るゴミ箱を覗き込むと、中身は空になっていた。

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