十六、同窓会
「いやー……久しぶりに嫌なもの見ちゃった」
友人のA子がそう漏らしたのは、同窓会の帰り道だった。
十年振りに会ったとは思えないほど盛り上がった同窓会だったが、A子が言わんとするのが何のことか予測はついた。
同窓会で久々に再会したYの様子が少々おかしかったのだ。
Yは去年の夏に婚約者と死別したらしい。
幸せを目前に愛する人を失ったYは目の下にクマを作り、ずいぶん憔悴しているようだった。
けれど、同窓会では終始笑顔で、その乖離が気にはなっていた。
しかし、A子の顔色を見るにどうやらYのやつれ具合に心を痛めただけではないようだ。
彼女は昔から霊感があり、今はそれを活かすような仕事をしていると聞いていた。
もしかすると“ソレ”絡みなのかもしれない。
私は気になってしまって、A子が見た「嫌なもの」について尋ねてみた。
「Yの彼氏さんね、一緒に来てたの」
「……え? 一緒って……」
「人質にとられてるみたいだった。YかYの家の人かわからないけど、何か宗教でもやってるのかな。周りに白い人がいっぱいいたんだ」
A子曰く、その「白い人たち」が亡くなった彼の霊魂を取り囲んで逃げられないようにしているらしい。
それは素人が簡単にできるような呪術ではなく、宗教団体のような大きな組織が裏で絡んでいる可能性が大いにあるのだという。
「あれを続けてたらYは長く持たない気がする。まあ、今回は依頼を受けてるわけでもないからいいけど」
「へぇ……。頼まれたらやってくれるの?」
「えー? 相手も抵抗してくるだろうからね。どれだけ時間がかかるか読めないし、命がけになる。よっぽど好条件じゃなきゃ無理」
そう言って苦笑したA子の顔には、淡い憐みの色があった。




