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完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
日常ノ怪②

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77/105

五、映画

 一週間という長期休暇を持て余した私は、映画好きな友人からオススメのDVDを借りることにした。

 大量のDVDの山から目についた三枚を選び取る。


 二つは何年か前に話題になった作品で、もう一つはタイトルのない無地のパッケージのものだ。

 自宅に帰った私は、興味を惹かれていた無地のDVDを真っ先に再生した。


 一体どんな映像が収められているのだろう。


 私の期待は大きく裏切られた。

 収められていたのは複数のカップルが仲睦まじくデートを重ねるだけの単調な作品だった。

 ストーリーもあるのかないのかよくわからない。


 素人の私から見ても撮影技術がそう高くないことは明白で、それでいて演出が悪趣味だ。

 公園を散歩するシーンでは全身黒ずくめで手足が針金のように細長い男。

 海辺のデートでは手招きをするように海面から伸びる無数の青白い手。

 帰りに通ったトンネルには赤いワンピースの女が佇んでいた。


 特に見るに堪えなかったのがラストシーン。

 二人の結婚式だ。

 最後の最後にブーケトスをするが、ブーケを受け止めようと集まった女性たちの後方で鎌を持った骸骨がじっと花嫁を見つめていた。


 そのシーンの後、エンドロールが流れることもなく映画は終了した。

 映画というよりドキュメンタリー映像に近いような気もする。


 ホラーではないようだが、どうにも後味が悪い。

 この作品は何かと友人に連絡して聞いてみた。

 すると、そんな映画は観たことがないという。




 後日、友人も立ち会ってDVDの内容を確認することになった。

 ディスクを挿入し再生ボタンを押す。

 ところが、テレビ画面にあの映像が映し出されることはなかった。それどころか、ディスクには何のデータも入っていないと表示されたのだ。




 インターネットで自分が見た映像の内容を検索するが、該当する映画はやはり見つからず、代わりにひとつのサイトがヒットした。

 そこは心霊スポットをまとめたサイトだった。

 国内外関係なしに、乱雑に写真を掲載しているらしい。


 その中に、見覚えがある景色があった。

 気になって色々なページを調べてみると、映画に登場した公園や海辺、トンネルはもちろん。結婚式場や、その映画に登場したすべて場所がそのサイトに掲載されていた。

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