十六、噂の女子高生
放課後の教室に数人の女子生徒が集まって話し込んでいた。
「ちょっと前にさ、口裂け女とか人面犬とか流行ったじゃん? ああいうのウチらで作りたくない?」
「あ、わかる~」
その場のノリが先行していたが、それこそが若さの長所といわんばかりにサクサクと話し合いが進む。
それぞれが思い思いのアイディアを出し合ううち、陽はゆっくりと沈んでいった。
「ね、聞いた?」
「旧校舎の幽霊?」
「そうそう! あれさ、マユミも見たんだって!」
休憩時間の教室は、旧校舎に現れると噂の幽霊の話で持ちきりだった。
目撃者の情報によれば幽霊は複数の女子生徒で、十数年前まで使われていた上下紺のセーラー服を着ているらしい。
幽霊を見た者は一躍有名人となり、周りには幽霊話を聞こうと人だかりができる。
旧校舎は吹奏楽部の練習場所として使われていることもあり、目撃者の多くは吹奏楽部の部員だ。
中には思いきりトランペットを吹き鳴らして幽霊を追い払う猛者まで現れ、それがまた話題となった。
「この前の子、ありえなくない? いきなりトランペットとかさぁ」
「マジびびるわ。てか何あの制服。スカートもあんなに短くして」
自分たちが怪異扱いされていることなどつゆ知らず。
旧校舎では紺のセーラー服のスカートを引きずるほどの丈に伸ばした少女たちが、相も変わらず次なる都市伝説創作のため会議を続けていた。




