表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
人ノ怪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/105

十六、揚げ出し豆腐

 幼稚園児の娘はこのところ粘土遊びとおままごとにハマっているらしい。

 家でも私や夫を相手に粘土で作った手料理を振る舞ってくれた。

 夫はその成長が嬉しいようで、満面の笑みで粘土料理を頬張るまねをして娘と一緒にキャッキャしている。




「ママが作るごはんより何百倍も美味しそうだぞ!」


 ある日、夫がそう言って娘を褒めているのが耳に入った。

 その瞬間に、私の中で何かが崩れる音がした。


 私だって頑張っているのに。

 家事に育児に近所付き合い。あちらこちらで気を遣いながら頑張って食事の準備もしているのに。

 夫はそれをわかってくれていない。


 それなら……、それなら――。




「今日は、はるちゃんも手伝ってくれたのよ」


 私がそう言うと、夫はとても嬉しそうに娘の頭を撫でた。

 娘も得意満面という様子だ。


 まずは娘に小鉢を持っていってもらう。

 夫は疑うこともなく小鉢の揚げ出し豆腐に箸を入れた。


「なんか固いな」


 そう言いながらも、かぶりつく。

 その口の端から白いものがぽろぽろとこぼれ落ちた。


「それね、はるちゃんが作った豆腐なのよ」


 言いながら中身が半分ほどになった紙粘土の袋を見せる。

 続けてサラダも出す。こちらは見るからに小麦粘土だったからか、手もつけずに夫は激昂した。


「なんでこんなものを食わせるんだ。俺は働いて帰ってきたっていうのに」

「あら、あなたがはるちゃんの作ったものの方が美味しそうだって言うから……」


 私と夫のやり取りを聞いていた娘の表情がこわばる。

 あなたは悪くないのよ、と娘の頭を撫でて、メインディッシュを差し出した。

 これももちろん娘が粘土で作った特製のハンバーグだ。


「ほら、残さず食べてよね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ