表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
人ノ怪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/105

十五、呪詛返し

「あんた、後で部屋に来な」


 夕食中、祖母が不意に私を見て言った。

 部活の大きな大会が控えているのに、疲れからかここ数日体調が思わしくない。

 部屋に戻って早く眠りたかったがそう切り出せる雰囲気ではなかった。


 うちは俗に言う二世帯住宅で、夕食の時だけは祖母も同席してその他の時は別々に暮らしている。


 祖母の後ろについて廊下を歩いていると、自分の家ではないような緊張感がこみ上げてきた。

 普段は祖母の部屋に入ることを許されていなかったので、その部屋の中を見るのは数年ぶりだった。


 祖母は部屋に着くなり押入れに頭を突っ込んで何かを探し始めた。

 少しして何の前触れもなく振り向くと、勢いよく液体を吐き掛けてきた。


 むっとお酒の匂いが広がる。

 驚きで硬直している私の背中を、数珠を持った祖母が強く叩いた。


「……いいよ、シャワー浴びて着替えな」




 祖母の不可解な行動から数日。

 私の体調が戻り始めた頃に親友のTの母親が亡くなったと連絡が入った。


 Tの母親とうちの母は長年の友人で、生まれてから今に至るまで私とTは家族ぐるみの付き合いをしてきた。

 それなのに母はTの母親の葬式に顔を出さなかった。




 私は体調不良で個人戦を棄権したが、Tが忌引きで抜けたため団体戦のチームには補欠で入ることができた。

 結果は準優勝で、今回のメンバーで県大会に進めることになった。

 試合にこそ出られなかったけれど、チームの一員としてその場に居合わせることができたのは本当に幸運だった。


 県大会の後Tとは何となく疎遠になり、別の高校に進むことになった。

 そこでようやく、あの時の祖母のおかしな行動は呪詛返しだったと教えられた。

 Tの母親はTより成績が良い私を妬み、呪いをかけていたらしい。それが跳ね返されて亡くなったというのが事の顛末なのだという。


「人を呪わば穴二つ。よーく覚えときな」


 祖母の言葉は重く、深く記憶に刻み込まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ