表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
人ノ怪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/105

二、赤鬼

 僕が小学生の頃、同級生に「鬼」になるとめちゃくちゃに強い男の子がいた。


 足も遅く、体格も良かった彼は鬼ごっこもかくれんぼも逃げたり隠れたりする時はさほど強くない。

 しかし、ひとたび「鬼」という役割が当たると異常な強さを発揮するのだ。


 そんな彼を僕たちは本名の谷山をもじって「鬼山(おにやま)」と呼んでいた。

 鬼山は右目の下に泣きぼくろがある泣き虫な奴だった。




 ある日、クラスのガキ大将が「鬼山は鬼のパンツを履いている」と言い出した。

 鬼のパンツといえば、アニメなんかに出てくるような虎柄のあれだ。


 何を根拠にそんなことを言い出したのか知らないが、必死になって否定する鬼山の様子が面白くてつい悪ノリが加速した。

 一人が鬼山のズボンに手を掛けてずり降ろしたのだ。


 女子は歓声のような悲鳴を上げながら横目でこちらを見ていた。

 クラス全員の前に晒された鬼山の下着は、弁解の余地がない完璧な「鬼のパンツ」だった。




 その日、僕らの夢には恐ろしい顔をした二匹の赤鬼が現れた。

 大きな鬼とその陰に隠れながら涙目でこちらを睨む小さな鬼だ。

 小さいと言っても僕よりも一回りは身体が大きそうで、小さい方の鬼には鬼山と同じ右目の下に泣きぼくろがあった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ