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完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
動植物ノ怪

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29/105

二、ハト

 ハト。それは平和の象徴。

 伝書鳩であったり、マジシャンのお供であったり、公園や街中でよく見かける鳥であったりと何かと馴染み深い動物でもある。


 温厚な印象のハトが豹変したのは、ここ数年のことだった。

 ある時、研究所で遺伝子実験中のハトが数羽逃げ出したという噂がネットで流れた。

 その噂は爆発的に拡散されたが、続報が出ることもメディアで報道されることもなく、あくまで噂の域を出ない話だった。


 しかし。半年ほど経った頃からハトが人間を襲ったという報告が一部地域で急増したのだ。

 それが件の実験施設を中心とした狭い範囲に集中しているというので、いよいよ信憑性が増してきた。


 事を重く見た行政により大規模な調査が行われることとなった、とニュースが伝えている。




 一週間も経たぬ間に脱走劇は事実で、うち一羽が未だ回収されていないということが明るみに出た。

 その一羽が生んだヒナと思われる個体は遺伝子異常を抱えていた。

 結果、通常ではありえない凶暴性を持ち、人間を襲うようになったらしい。


 それが解明されるまでの期間に、凶暴なハトたちは次々に巣立ち生息範囲を広げてしまった。

 遺伝子異常を持った個体の子供は同じ異常を引き継いでいた。

 その結果、本州の広い範囲に凶暴なハトが生息するようになってしまった。


 子供たちは学校でハトに注意するようにと指導を受け、住宅地では専門の業者がハトを駆除する。

 外見だけでは正常なハトと遺伝子異常を持ったハトの区別はつかないため、捕獲作戦は難航しているらしい。


 我が物顔で街を飛び回っていたカラスたちはハトに追いやられ、いつの間にか姿を消してしまった。

 もしかすると、同じように人間が駆逐される日もそう遠くないのかもしれない。

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