表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
日常ノ怪①

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/105

二十五、稲荷

「あそこの神社、キツネが出るらしいよ」


 友人の声に里奈(りな)は顔を上げた。

 そこにあるのは通い慣れた通学路にある古びた鳥居。


 生まれた時からこの町に住んでいる里奈は何年もこの道を通り、この先にある寂れた神社を見てきた。

 毎年初詣にだって行っている。

 けれど、そんな話は一度も聞いたことがなかった。


「……ま、キツネくらいはいそうだよね」


 ちょっとした山の入口にある鳥居を眺めて漏らす。

 この場所なら動物うんぬんという話も理解できなくはない。

 そういえば、一緒に初詣に行った時にこの神社で買ったのも狐のキーホルダーだったっけ。


 里奈の曖昧な返事が気に食わないのか、友人は語気を荒くした。


「ただのキツネじゃなくて! 九尾!」

「え……?」


 一瞬呆気にとられたが、里奈はすぐに笑い出した。


「やだぁ、なにそれ。大昔の言い伝えかなんか?」


 目のふちに溜まった涙を拭うと、悲しげな表情の友人が目に入る。


「里奈なら信じてくれると思ったんだけどな」


 そう言うと、友人の姿は次第に透明になり、空気に溶けるように消えてしまった。




 翌日、学校には友人の姿がなかった。

 里奈は他のクラスメイトに彼女のことを問おうとしたが、名前が思い出せない。

 歯痒さを覚えつつ話を切り出すタイミングを見計らっていると、不意に声を掛けられた。


「そうそう、里奈聞いた? 山のとこの神社解体するんだって」


 もうボロボロだったからねー。

 そう言って笑う同級生の声がどこか遠くに聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ