表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
日常ノ怪①

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/105

二十三、出会いがしら

 祖父が事故で亡くなった。


 双方に一時停止の表示がない交差点で、両者ともスピードを落とさず交差点に入り正面衝突したらしい。

 元々交通事故の多い場所だというが、家から離れた住宅地であるその場所に祖父が向かった理由は定かではなかった。




 祖父の葬式が終わると実感が沸かないまま遺品整理が始まった。

 一人息子である父が中心となり、私もその手伝いをした。


 祖父の机の上には、一台のノートパソコンがあった。

 私が使わなくなり祖父に譲ったものだ。使い方は私が教えたからパスワードも知っている。

 少しサボるつもりで、私はパソコンを起動した。


 祖父のパソコンを見て面白かったのは、女性とチャットをしていたのがわかったことだ。

 祖母が他界してもう五年になる。

 一人暮らしをしていた祖父も寂しかったのだろう。


 メールボックスを覗くと、「キヌコ」さんとのメールが見つかった。

 意気投合した二人は近くに住んでいるらしいと知り、会う約束をしていたようだ。


 待ち合わせの日時を見て私は息を飲んだ。

 事故があった時間とほぼ一致する。


「お父さん、これ見て!」


 待ち合わせ場所の住所を父に確認してもらうと、事故のあった場所のすぐそばだと判明した。

 祖父は「キヌコ」さんに会いに行く途中で事故に遭ったのだ。


 祖父が会おうとした人。

 私たちは住所を頼りに「キヌコ」さんの自宅を探すことにした。




 時間はかかったが、目的の家は見つかった。

 インターホンを鳴らして出てきた人に待ち合わせ場所に向かう途中で事故に遭い祖父が亡くなったこと、事故が起きたのがこの近くであることを伝えると、相手方は脱力したようにへたりこんでしまった。

 同じ日、「キヌコ」さんは来客があると言って出掛け、同じ場所で交通事故に遭い亡くなったのだという。


 どうやら、本人たちが思っていたのとは違う形で二人は出会ってしまったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ