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完全版・怪奇短編集  作者: 牧田紗矢乃
秘密ノ怪

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105/105

五、エレベーター

「私、昔からどうもエレベーターが苦手で……」


 彼女はそう前置きして語り出した。


「小学生の頃だったかな。その時住んでたのがマンションの七階で。

 自分の家に向かう途中だったか、家を出てどこかに行く途中だったか、記憶ははっきりしないんですけど。


 その日、私は一人でエレベーターに乗っていたんです。

 そうしたら途中の階でおじさんが乗ってきたんですよね。


 おじさんと二人っきりって、ちょっと気まずいじゃないですか。

 早く着かないかなーって思ってたら急にエレベーターが止まっちゃって。

 それも二階と三階の間とか、普通は止まるはずじゃないところなんです。


『どうしたんだろう』っておじさんがエレベーターの窓みたいなところから外を見たんですよね。

 その瞬間、色んな方向からバンバンバンって叩く音が聞こえて。でも姿は見えないんです。


 おじさんは大丈夫だよって言ってくれたんですけど、子供だし、パニックになっちゃって。

 そうしたら、おじさんがお経みたいなものを唱え始めたんです。




 しばらくしたらバンバン叩く音が止まって、エレベーターも普通に動くようになったんです。

 エレベーターを降りて、お礼を言おうと思って振り向いたらおじさんの姿が見当たらなくて。

 どうもそのおじさんも人間じゃなかったみたいなんですよね……。


 その時のおじさんが一体誰だったのか、うちの親に聞いても何もわからなくて。

 その後からですね。

 一人だと怖くてエレベーターに乗れなくなっちゃったんです」


 語り終えた彼女は、困ったように笑った。

これにて完結となります。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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