中心部へ-モフモフ連合-
早速、村長ブライトンさんの依頼でイリア嬢に同伴して森の中心部に向かっている。
護衛として向かわせたいのか、それとも俺が中心部に行くことに意味があるのかは判断はつかない。
口ぶりから考えると、普段中心部とやらにはイリア嬢単独でいっているのだろう。足取りも別段迷った様子もない。
たまに視線があうと恥ずかしそうに視線を逸らされる。少女から年上に話題を振らせるのは酷だろう。
「動物好きなのか?」
「・・・うん」
「よし、ウルフ、イリア嬢に挨拶しろ」
『ワンッ』と俺に返事をした後にイリア嬢の傍によりふくらはぎあたりをスンスンする。
イリア嬢は最初は戸惑いがちに背を手触りを確かめるように撫でる。反応して尻尾が揺れる。尻尾の反応に気を良くして手に勢いがつき、尻尾にも勢いがつく。最終的には背中に頬をあてて体を使って満面の笑みで撫でている。
「ウルフ良い子」
「自慢の狼だぜ。俺もオウルだったか?撫でていいか」
「いいよ。オウル」
俺の足元を指差すとオウルが俺の傍に寄ってくる。なるべく優しい手付きで喉元や頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細める。
そんなやりとりをしたお陰か幾分、イリア嬢の雰囲気が柔らかくなった気がする。警戒心は霧散している。
「森の中心部にはよくいっているのか?」
「うん。よく、いっている」
「差し支えなければ、普段どんな目的で行ってるんだ?正直何で俺も同伴しているのか分からないんだ」
「私も、分からないよ。普段は、お姉ちゃんとお話してる」
「お姉ちゃん?」
「うん」
森の中心部でわざわざ暮らしているお姉ちゃん?
何となく誰を指しているのか連想出来てしまうが意図的に考えないようにする。
「・・・そうか、まぁブライトンさんにはイリアちゃんについてゆけとしか言われてないから、俺はついてくだけだがな」
イリア嬢は不思議そうにこちらを眺めている。
「まぁ、なんだ。同じ動物好きということで道中よろしく頼む。オウルの馴れ初めとか聞かせてくれ」
「うん!」
イリア嬢の花開くような笑顔を見れて、こちらも温かい気持ちになった。