接触-情報収集-
「大丈夫か?あいつら手を上げそうだったから間に入ってしまったが」
「助かりました。いつ手を上げられるヒヤヒヤしてました。あっ、コリーと申します」
「アークだ」
「イリア、だよ」
コリーの顔は青ざめている。イリアも気遣うように挨拶する。
「あいつら一体なんだったんだ?随分と横柄な奴らだったが」
「この街を牛耳っている商人の使いです。ああやって因縁つけて、みかじめ料をせしめてます」
「でっ、ああやって暴力で黙らせるわけか」
「はい」
「役人は取り締まりをしないのか?」
「門前払いされます」
悲しげに笑うコリー。
ずっと黙っていたイリアが口を開く。
「アーク、私、この子を助けたい」
「・・・そうだな、そうだよな。何とかしたいよな」
今の俺達なら何とか出来るはずだ。自分で言うのも何だがチートスキルを使えばある程度の無茶は出来る。私欲で使うのは厳禁だが、出来ることならコリーみたいな女の子ために使いたい。悲しそうな笑顔じゃなくて嬉しそうな笑顔がみたいよ。
「あの、とてもありがたい話ですが、どうしてこんなに良くしてくれるのですか?」
「あー、勝手に盛り上がってすまない。元々は北の民を探してたんだが放っておけなかったからな。ただのお節介だ。気にしないでくれ」
「北の民に会ってどうする気ですか?もしかしたらお力になれるかも知れません」
コリーは北の民に心当たりがあるらしい。朗報だ。図らずしもツテを手に入れた。
「本当か?そいつは助かる。実は『ビックウォール』を越えて北の地に行きたいんだ。理由は探し物が北の地に散在してしまったためで、それ以上の思惑はない。町でトラブル抱えているならそれを解決するから北の民を紹介してほしい」
コリーは少し困ったように微笑む。
「家に来たいならどうぞ来てください。後、トラブルも解決してくれると嬉しいです」
◇ ◇ ◇ ◇
「へー、北の地で石炭取れるんだ」
「ええ、主要な交易品です。採掘したものを食品や薬草などに交換して生活してます」
同中で世間話をする。今まで冒険者ギルドで北の民を見かけなかったのはビッグウォールが原因のようだ。山を越える労力がかかりすぎるせいでトレジャー以外の町に立ち寄ることが出来ないらしい。だから例え足元を見られたとしてもここで交易をしているとのこと。
越境するのも命がけだろうし、それで石炭を買い叩かれたらそりゃ疲れもするだろう。
「大変だな。ところでコリー達はみんな慎重は同じ位なのか?」
「?? ああ、そうです。私達は先天的に身長が低いです。他の方々からしたら顔も童顔に見えるようですが」
ニコリと笑うコリー。何だか不思議な感じがする。低身長というだけなら、ドワーフとかホビットがいる。ああいう童話的な可愛さと違う。正直な所、大人びた子供のように見えてしまう。実年齢はちょっと色々と怖いので聞けないが。万が一年上だったらどうしようとか思ってしまう。
そうこう考えている内に酒場に戻ってきた。
「ここは?」
コリーが少し身構える。よくないものと思われたのかも知れない。誤解されないうちに釈明する。
「あー、コリーの露天を紹介してくれた人がいる。安心してくれていい」
「アークさんのこと信じてます」
「ああ、任せてくれ」
コリーを連れて酒場に戻った。
すると酒場のマスターとコリーは面識があったらしい。後、バッカス氏もいる。
「ふむ、北の民も連れてきたのか」
「あっ、こんにちわ」
少し驚くマスターととても驚くコリー。二人に面識があることが意外だ。
「知り合いだったのか?」
「ええ、たまに露天に立ち寄ってくれて石炭を買ってくれます。後お菓子をくださったり」
「たまたまだ。たまたま。で、どうなったんだ?」
酒場のマスターこと、ソーマ氏に露天であったことを説明する。
チンピラがコリーに因縁をつけていたことを話すと、ソーマ氏は顔をしかめていた。
「お前らはあのチンピラどう思った?」
「どうって、そりゃ良くないと思いますよ。本来役人が取り締まる領分だと思いますがね。どうもちゃんと機能していないようですが」
「ああ、だから困っている。そこでだ、悪徳商人を懲らしめるのを手伝ってくれないか?」
「協力するのは構わないが、何をすればいいんだ?俺はただの冒険者だぞ」
「荒事に強い冒険者に調べて欲しいことがある」
ソーマ氏はぽつぽつと語り始めた。




