お泊り会-夕飯を作ろう!-
ギルド受付嬢ハナさんのご厚意で自宅に泊めていただくことになった俺達。
市場で夕飯の食材を買い出しをすることになった。色とりどりの野菜やハーブ、幾種類の肉が並んでいる。
尚、動物達(ウルフ達)は市場の入り口で留守番してもらっている。
「イリアちゃん、何か食べたいものってある?」
「シチュー、食べたいです」
「分かったわ。今日はシチューにしましょう」
夕飯を何にするか決まったら後は迅速だった。人参、玉ねぎ、じゃがいも、レンコン、鶏肉、ブイヤベース、ミルク。シチューに必要な食材をポンポン購入する。市場を出て街道に戻った後はパン屋でパン生地を購入する。
◇ ◇ ◇ ◇
「「お邪魔します」」
「はい、いらっしゃい」
ハナさん宅は街のメインストリートから離れた閑静な住宅街にあった。俺も初めて伺うのでちょっと緊張している。
ハーフエルフらしく全体的に若草色を意識して内装されている。室内なのにどことなく草木の爽やかな匂いがする。香木かアロマを焚いているのかも知れない。
「いい、匂い」
「ふふ、あらそう」
キッチンに買い出した食材を置くハナさん。俺達もそれにならって食材を置く。
相棒のウルフとオウルは居間で体を休めている。二匹とも上手くやってる。やっぱり賢いな。
「アーク、イリアちゃん。それじゃ早速夕飯の支度しようか」
「了解」
「うん」
作る献立は、根菜シチューとサラダだ。それと買ってきたパン生地を焼くわけだ。
「イリアちゃんは料理したことある?」
「ない、です」
「じゃあ、アークからやり方教わりながらやってもらっていい?」
「うん」
「俺は何をすればいいんすか?」
「にんじんとかの皮全部剝いて。その間に私、シチューの下ごしらえするから」
「わかった」
そういうとハナさんは鍋を用意してブイヤベースなどに火を入れ始めた。
「じゃあ、こっちもやるか」
「うん」
「人参の剥き方教えるから人参は任せた。コツは包丁を人参に這わせるようにやるんだ。切ろうとしなくていいぞ」
縦に真っ直ぐツーっと皮を剝いてゆく。
「おおっ」
「ゆっくりでいいからやってみるんだ」
ぎこちなくはあるが、ちゃんと皮が向けている。指さえ切らなきゃ合格だ。
「出来た」
「上出来だ。同じ要領でやってくれ。ゆっくりでいいからな」
「うん」
比較的剥きやすい人参はイリアに任せて、俺はやりづらいジャガイモ、レンコンの皮剥きを行なう。
「アーク、上手いね。料理好きなの?」
「凝ってるつもりはないが、まあ人並みじゃないか。飯は上手い方がいいからな」
話ながらサクサク皮剥きを続ける。
イリアはあーだの、うーだの言いながら悪戦苦闘している。それでも次第に慣れてきて最後の方には楽しげにやれていた。
剝いた野菜を鍋に入れてグツグツ煮込む。その間にサラダを作って、パン生地を焼いて完成だ。
思いの外、穏やかな時間を過ごせた。追放されてからこうなるとは予想していなかった。この子は無事に村へ返さないとな。




