事件~青祥ver~
[全力でラノベっぽく刻印メンバーを現代設定にしてみた]
青祥ver
鏡を見る。
銀髪青目、スーツは黒系で我ながらそれなりにイケていると思う。大体身長が185を越えると少しイケメン補正されるもんだ。
だけど、努力したって限界があるんだよ……。何故って、この寮の中は俺程度のイケメンなんて吹っ飛ぶレベルの美形が溢れているんだ。
「おい、青祥」
ノックなんて俺には一切してくれない士學様がドアをあけて俺を睨む。
士學様は色々訳あって超財閥の御曹司になるはずだったんだけど、派閥争いによって身分を隠している。俺はそのボディガードって感じ。
なんで断言できないのかって、士學様も相当強い。護衛なんかイラないんじゃねーのってレベルの人なので、俺は車だせとか荷物もってこいとか、要するにパシりのようなもんなんだよ。
自分で言ってて悲しくなってきた……。
そもそも、俺の名字は青、名前は祥なんだけど、誰もがフルネームで呼ぶ。
「なんですか、高等部はもう授業終わったんですか?」
「当たり前だ、貴様みたいなフワついた大学生ほど暇じゃない」
「それで何です?」
「事件だ!!!」
圧倒的に美形で、態度は偉そうな俺のご主人様は物騒な発言を投げつけてきた。
俺より10センチは低いとはいえ平均身長を満たしているし、高3なら未だ伸びるだろう。
「事件って!?前に陵がサッカー部のヘルプにいってボール蹴破ったときもそう言いましたよね?」
「馬鹿か貴様、そんな些細なことじゃない!」
「それじゃラブレターで下駄箱が壊れたとか?」
「どんなジェネレーションギャップを拗らせたらそうなる、今時そんなもん送ってくるやつはいないし、呼び出しされてこの私が放課後に出向くと思うか?」
バレンタインのときに、星游と叔玄と、そしてこの士學様のせいで下駄箱が壊れてチョコの波が発生した案件は忘れているらしい。
そう、寮のメンツで士學様と一緒にツルンでいるのが、李星游と、潘叔玄というケタがぶっとんだイケメンなんだよな。
そのせいで俺が一緒にいても女子のフィルターからは目に入らないらしく、この身長ながらスルーされている原因だ。
くっそお、強くてかっこよくて成績優秀とか、どんなチートキャラだよ!!
おまけに星游は寡黙キャラで男子のファンまでついてるときた。
叔玄はアイドルばりの華やかオーラがあるくせに、将来は医者になりたいとか、どんだけ天に愛されてんだよ、コイツら。
陵はマスコットキャラというか、やんちゃで可愛いとか云われて中等部でダントツに人気がある。
俺が卑屈になるのがわかるはずだ。
この世は不平等なんだーーー!!
「そんじゃ、どういう事件が起きたってんです、誰かカノジョでもできました?」
誰が童貞卒業宣言したって不思議じゃない。
っつーか、全員がファンクラブが校内と校外にも存在してるんだから、今まで誰もカノジョがいないことのが謎だ。
「そういうピンクに汚染されたノーミソだから、貴様はモテないんだ」
「もう、何なんスか、わかりません」
「昨晩、少春が作ってくれたプリンがあっただろう」
「ああ、美味しかったですよね。で?」
「薛先生が要らないといって一個余っただろうが」
「それは覚えてますよ、今日帰ってきたら四等分するって言ってたやつでしょ」
もちろん、その四人というのは俺を除く。理由は、もう察してくれ。
少春というのはこの寮の監督する薛先生の娘さんでまだ小学校低学年の女の子。
かわいいけど俺はロリを愛する精神はないので、皆の妹のような存在だ。
この男子寮の家事を手伝ってくれたり、デザートを差し入れしてくれるオアシスでもある。いや、だから俺はロリじゃないけど!
「そのプリンが消えた!!貴様が容疑者じゃないだろうな」
「事件ってまさか、プリンのことですか!?」
今までで多分絶対一番どうでもいい内容がランクインしてきた。
もうコンビニにパシられたほうが楽なのに、士學様がこう言い出したら絶対にそんな事で済まない。っていうか済ましてくれない。
「プリンを食べた容疑者を探せ!!アリバイを洗ってこい!!」
思った通りだよ、誰だよこんなフラグ回収誰も望んでねーよ……。
「刑事でもないのに、アリバイなんて……っていうかなんで俺なんです」
「一番暇人だからだろうが」
理不尽な俺様は一方的に告知して、風のように去っていった。
こうして俺のプリンを食べたのは誰だ捜査線が始まった、すげえムナしい。
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悪ふざけを全力でやるとこうなる、というか私の限界なんてこんなもんだよね。
現代設定かなり無理がある。それでも、設定無視してゴリゴリ遊びます。
本編はいつだってシリアスなので、此処であわよくばキャラを気に入って本編読んでくれれば嬉しいけどまあ、無理ですよね。士學様の一人称はやっぱ俺でも僕でも違和感あって俺様とか吾輩とかいうわけにいかないので、口調がブレないためにあんま変わってないっす。