第7話
「あんたもネームドってことはどっかの国のお偉いさんなのか? と聞いて見たが、そんな格好で樽の中に入る人はいないわな」
自分の服を見てみる。
「あ…」
服は見事にボロボロただった。
「服…出せるかな?」
この二年、ただ単に樽の中で知識を蓄えていたわけではない。
無論、能力の研究を怠ってはいなかった。
そして、その研究の成果――能力発動に必要不可欠である『本』を生み出す。
。
「なにかする気か!?」
グラッソは直ぐにイアサントを庇うような体制になる。
「何もしませんよ」
無駄に警戒されても面倒なので、直ぐに目的の物を出すことにした。
「デザインは…まぁ適当で」
すると突如眼の前に服が折り畳まれた状態で出現した。
※グラッソ視点※
突然本が現れたと思うと、次は服が現れたやがった。
「どっどこにしまってあったんだ?」
「ん、あぁ能力で作りました」
生産系の能力か? しかしネームドで生産系とか聞いことねぇぞ、それも生産系のなかでも最高位。
無から有を作り出す能力だし…普通ならこんな樽の中から出てきていい存在じゃないんだけど、どうしてだ? わからん。
「そんじゃちゃっちゃと着替えますね」
「おいいいいい!?」
おもむろに服を脱ごうとした為にそれをやめさせる。
「…早く着替えたいのですが…」
「…お前…女だよな?」
「多分…」
「なら普通男の前で脱がないよなぁ」
「気にしてないので」
「俺が気にする」
「あ、ハイ」
その後イアサントと一緒に奥の部屋へと入ったが、あいつは常識を知らないのか? なんだかわからん奴だ。
数分後…
「終わったか?」
呼びかけてみると。
「は〜い、今終わりましたよ」
奥から出てきたその姿は―
※ミラ視点※
着替えが終わって出てくればイアサントが…
「ブァァァ!?」
「えぇ〜」
吹いた、多分お酒かなんかだと思う。
アルコール臭が満載だし。
「おま!、その格好!」
「適当に出した服ですけど?」
嘘だ、俺は今嘘をついた。
この服は樽の中で暇だったから半年かけてデザインした服だ。
その服は自分が一度で良いから軍服が着てみたい、そんな思考の影響で軍服ベースでデザインした。
襟付きの白いノースリーブと黒いミニスカートを合わせ、肩には白いのロングコートを羽織っている。
履いているニーハイソックスと、それらの隙間から除く白い太ももに加えて、随所の装飾品が眩く輝いていた。
そして胸には漆黒に輝くあるバッチが付いている、旧ドイツ軍人が付けてたとされる鉄十字勲章。
能力で出せるアイテムで見た目こそ普通だが、何かしら能力が付与されていられるマジックアイテムなのだ。
今の所付与できる能力は一つまでで、今回は身体能力強化の能力を付与させてある。
そんな過労を伝えてもしょうがないので、適当と言ってしまった。
「適当ってそりゃ、帝国指揮官が着る服じゃねぇか!!!」
「えぇ…」
ショックだった。
頑張って、デザインした服が被っていてなおかつ帝国の軍服だったなんて―
ガックリと膝をついてしまう。
久しぶりだ、こんな気持ちを味合うなんて。
「こいつなんで膝なんてついて落ち込んでんだ?」
「さ、さぁ?」
もうほっといてくれ…
「とにかくその服じゃ、外には出られねぇな」
「え?何故?」
聞きたくはないが一応聞いてみる、もしかしたら自分の認識とは違―
「普通は連行されるだろ…」
ですよねぇー、そりゃ連行されるだろされますよねぇ。
「連行…懲罰牢…拷問…極刑…」
「ちょっとイアサントさん! 怖いこと言わないで!」
マジこの子怖い…しかしこの服はどうしても着たい。合法できる方法は―
そんな風に迷っていると『コンコン』とリズミカルな音とともに。
「グラッソさん、不審物を持ち込んでいると通報を受けました警備隊の者ですが…」
「早く隠れな!」
「ちょ!?」
グラッソは軽々と自分の体を持ち上げると。
「フッん!」
近くにあったいかにも宝が入ってそうな宝箱に押し詰めた。
「ほとぼりが去るまで入ってろ」
宝箱の蓋を閉める。
宝箱はかなり大きいらしくスペースに余裕がある。
それから所々にある隙間からドアの方見ると
「入りますよ」
男と思われる人物が入ってきた。
その格好は全身を覆う『フルプレート』と呼ばれる鎧であり、腰には剣をぶら下げている。
「強制捜査です、手荒な事をしたくないので抵抗はしないでくださいね」
男はそう言うと手を上げる。
すると後ろに待機していたのか、男と同じ格好をした人間が数人入ってきて家の中を探し始めた。
「いきなり何しやがる!」
グラッソが喧嘩腰で声を荒げた、しかし男達はやめない。
すると最初に入って来た男が語りだした。
「先程も言いましたように近隣住民から不審物の通報を受けまして、強制捜査にきました。帝国に害なす物は償却しなければならないので」
説明されたがグラッソは話を聞かずやめさせようとする。
「話を聞いてませんか…」
すると男は腰の剣を抜くと―
「ふん!」
「あっが!」
「お兄様!!」
グラッソの背中を斬った。
血液が宙を舞い、自分が入っている宝箱にまで飛ぶ。その後グラッソは膝から倒れた
※警備隊視点※
めんどくさいから斬っちまった。
元々この家の住人は皆殺しにする予定だったから関係ないがな。
元々この家の住人には、元々国家反逆罪の疑いがかけられていた。
それに乗じて金目の物をいただく計画を立てていたが、強制捜査に持ち込む決定的な証拠がなかっが、好機が訪れる。
巡回中に何かしらの樽を持ったこの家の住人を見つけた。
チャンスと踏んで突撃したが大当たり。
必死に何かを隠そうとした時点で条件はクリアされ死刑は確定。
金目の物をいただくと言う目的が達成される。
「捜索の邪魔をするということは帝国への反逆を意味します。反逆者は即死刑なので斬られても文句は言えませんね」
「よくもお兄様を!」
イアサントがグラッソを斬った男に飛びかかるがー
「この子も…」
ハエを払うかのように斬り捨てる。
そしてその男は、その状況を楽しんでるかのようにクスクスと小さく笑い声が部屋の中に響くのだった。
「隊長!、宝箱を発見ました!」
「そうですか!」
まるでその報告を待ってたかのように宝箱へ近づく。
「これで目的は達成ですね」
「ですね」
二人は笑いながら宝箱を開けると…
ドン!
謎の轟音が部屋に轟く。
そして赤くべっとりした何かが右側にへばりつき、生々しい鉄の匂いがより一層強くなる。
そして右を見ると先程まで話していた相手の首から上がなく、力無く倒れる。
そして宝箱の方を見るとそこには、白いコートを羽織った一人の女が白い煙を上げる筒状の物を向けて立っていた。
「お前は誰だ!」
直ぐさま剣を向けたがー
ドン!
爆発音に似た轟音が響き視界が90度反転していた。
何をされたかわからないがこれだけは言える。
俺は死んだ。
ホースの暗黒面落ちて更新ペースが安定しないのだぁ