第五話
クラーケン襲来数分前、船長室
「やはり何か追いかけてきてますね」
この男、名をクルズ・ナフラン 、この船で航海士兼護衛の仕事をしている。
「何が追ってきているというのかね」
ロバートがクルズに聞くが首を横に振りわからないと伝える。
「しかさ水中でここまで速度を出しなおかつ大型の生き物は限られてきます」
この男、魔術を少しばかり使え探索の能力を持つ。
そのおかげか現代で言うとこのパッシブソナーが使用可能なのだ。
「いつから追われていたのだ?」
「恐らく…」
クルズは言葉に詰まってしまった。
この事を言うと、取り返しの付かないことになりそうな余暇感があったからだ。
「なんだ、早く言わないか」
ロバートはそのことを知るわけもなく、ついには言ってしまう。
「あの娘を拾ってからかと…」
「…」
そのことに関しては、ロバートを思い当たる縁があるようで俯く。
そしてロバートはこう考える。
"確かにミラを拾ってから数時間、急に海流や風向きが変り雲行きが悪くなってはいたが、本当にミラが原因だろうか…"
「…ん…んん!?」
クルズがなにかに気づいたようです急に慌てだす。
「どっどうしたんだクルズ」
その慌てようは尋常じゃない。
クルズは比較的冷静な男だが、こんなに取り乱したことはなかった。
「くっクラーケンだ…いま追ってきている魔物はクラーケンだ!!」
その言葉に船長室で聞いていた全員が驚く。
クラーケン、またの名を海の管理人。
普段は温厚なのだが自分に危険が及ぶ者、縄張りが危険に及ぶ存在には敵対する危険な魔物。
つまりはこの船の者に何らかの影響を与える者がいるということだ。
しかし今はそんな事はどうでもいい、クラーケンへの対処が優先だが、次の言葉で正気を失いそうになる。
「クラーケン急速に加速、来ます!」
もう有余がないだったら。
「親方!」
船長室を飛び出しクラーケンが来たと叫びながら船内を走る。
少しでも船員の命が助かるのなら、そんなふうに思いなが叫ぶのだが。
――ザパン!――
急に水の跳ねる音が聞こえ船が揺れる。
その揺れでは倒れなかったのだが。
――ドン!――
クラーケンの一撃であろうか船体が2つに割れ床の角度が斜めへとなる。
その衝撃で海へと放り出されたのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
眼の前には大きなイカ、現在進行系で落下中。
そんな災厄な状況の中恐怖も何も浮かばない。
そのことについて自分自身でも驚くがそんな事を指定場合ではない。
体が海へと落下する中、直ぐにナイフを壁に向かって撃ち出し刀身を刺して海へと落ちるのを防ぐ。
2つに割れた船体、その船首部分にナイフを撃ち出すと素早く上がり足場の確保をする。
改めて見るとクラーケンと呼ばれた魔物のような巨大イカはスライムのように半透明で水色をしていた。
見ているとその仮称クラーケンスライムは艦尾を吸収しているようにも見える。
艦尾に取り残されていた人達が仮称クラーケンスライムの粘液に溶かされているように見えた。
どうやらあの粘液には強力な酸性が含まれているようで、苦痛の叫びを上げながら乗員を完全に溶かされてる。
そしてその叫びを聞いてなんの感情の変化もない。
前の自分とは明らかに違う、やはりこの体の影響で感情が薄れている。
しかし助けてくれた恩人の船をここまでぶち壊してくれたので、感情が薄れていたとしても強烈な怒りが湧いてくる。
モンスターは周りのことを気にせずドロドロと船尾を溶かし自分の養分へと変えてく。
「…コロス!」
このときばかりはちゃんと言葉が言えた。
その発言とともにナイフを性質変化で酸性に強い構造へと変え射出し、クラーケンへと戦いを挑む。
今回は文字数少なくてすいません。
いつものポークフィッシュ(豚魚)です。
今回は時間がなく、いつも以上に酷いものになってしまいました!
しかし、次回は戦闘回なので許してください。
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次回も20:00に更新予定なのでお楽しみ? に