第三話
光の中に包まれたと思うとそこは闇だった。
闇を突き進むが進めば進むほど息ができなくなり身動きができなくなってくる。
全身に冷たい感覚が走り、足は宙に浮き手足を動かそうとすると抵抗が生まれて重い、まるで水の中にいる夢を見ているようだった…いや、違う夢じゃない!
目がさめるとそこは水の中だった。
口の中に水が進入し、塩辛い味を感じる。
つまりここは海の中、転移したら海の中という予想外な展開に驚くが推測は後。
空気を求め海面まで泳ぐ。
泳いでいくと息が苦しくなっていき意識が薄れてゆく。
そして何かの影が見えると同時に意識を手放した。
「誰か!船医を呼んで来い!」
聞き覚えのない声が頭に響く。
何かの言っているようだが何を合っているのかわからない。
突如猛烈な吐き気に襲われる。
ガッハ、ガッハ!
体内に入っていた海水をすべて吐き出し意識を取り戻した。
すると視界に入ったのは金髪の若い男だった。
「大丈夫かい!」
俺はコクリと首を立てに降ると男は安心した表情となる。
「それはよかった、もう少ししたら船医が来ると思うから安心してもらいたい」
それから少しして先程言っていた船医らしき人物が一通りのチェックをすると離れていった。
回らを見渡すと大型の帆船に乗っていることに気づく。
確かに船医と言っていたら船だとは思ったがここまで大型だとは思わなかった。
「僕の名前はロバート、ロバート・ウィルソン。君は?」
先程の金髪男が喋りかけてくる。
なので礼儀としてこちらも名乗ることとした。
「私の…!?」
声のトーンが異様に高い事に気づく。
すぐさま船の端まで走り海面で自分の顔を確認する。
「な…あの泣き虫駄女神!」
そこに写っていたのは女の顔だった。
それもかなりの黒髪の美少女である。
「どうしたんだい?」
心配そうにこちらを見つめてきたためとりあえず、何もないよう降り舞う。
「いえ…なにも…」
ロバートと名乗った男は近づいてき頭に"ぽん"と手を置くと頭をなで始めた。
「君も目覚めたばかりで混乱しているのだろう、自己紹介は落ち着いてからで構わないよ。」
ロバートは最後にニッコリと笑うと、近くに通りがかった少年に何かを言い残しその場を後にした。
そして何かを言われた少年が近づいてくる。
「僕の名前はジェームズ・モリアーティ。君の部屋を案内するよ」
それから少年は俺の手を取り船内へと案内した。
それからモリアーティはロバートの事や船の事などの説明を始める。
簡単にまとめると。
ロバート・ウィルソンと言う男は元の世界で言うと、ウィルソン商会と言う大手企業の社長と行ったところの立場の人間だった。
この世界は元々戦争をしていてその中でも民衆に商品を届け続けた結果、終戦後その功績が報いてか商会は急成長をとげ、今の姿になったと言う。
そんなに凄い人に助けられたと内心驚いていると、次に自分がどこで溺れてたかなどを説明を始めた。
これも簡単にまとめると。
自分が溺れていた場所は死霊の海域と呼ばれ、普通に航行する分には問題ないが一度と海に落ちると誰も生きては帰れない海域だった。
説明をしているモリアーティも驚きの表情のまま説明を続けている。
理由はその海域に自分を助けるためにロバートは自ら飛び込みそして戻ってきた事だった。
海域の呪いは本物だと信じられてきたが迷信なのではないかと、言う噂が船内で広まっているぐらいである。
途中で思考を放棄した自分には関係のないことだった。
それから色々な人たちとすれ違い部屋に付くと。
中に入ると中世ヨーロッパな雰囲気を醸し出す装飾に家具が置いてある。
それに少し興奮していると。
「何かあったらそれで伝えてください」
そう言い残し木の棒らしき物を置いて行き部屋を出た。
「"疲れたぁ〜"」
近くの椅子にもたれかかるると自分の姿をまじまじと見る。
「"完全に女だな…"」
椅子から立つと鏡らしき物の前で服を脱い全身も確認してみる。
脱ぐときに気づいたが服は、服というよりボロ布をつなぎ合わせてマントにしたようなおそまつなもの。
なので脱ぎやすく中には何も着ていなかったため、直ぐに服を脱ぐ。
体は全体的にスレンダーで肌の色は白く美しくい、身長はさそほど高くなく150センチ前後と行ったとこ。
右の脇腹に大きな切り傷があり、目は赤というより血に近い紅色だった。
「"美人だが…、よりによって女か…"」
もとが男だったためショックが抑えきれなかったが他の感情は浮かんでこなかった。
その後、そのままの姿でベットへ寝転ぶ。
ベッドはふわふわで気持ちよく寝子の心地のいいものだとわかる。
そのまま寝てしまおうとした時。
「モリアーティです、入ります」
先程の少年が部屋へ入って来た。
入って来たのを確認するとベットから出て椅子に座る。
何やら書類を片手に難しい顔をして悩んだいる。
こちらを見ていないようだ。
「そういえば名前を聞き忘れていましたね、あなた…ん!?」
こちらへ目線を向けると顔を赤らめ、顔を手で抑えながら後ろへ振り向く。
「なんで裸なんですか!?」
そういえば裸だと言う事を忘れていた。
元男なので男同士と油断していた部分もあ。それに何故か服を着ることそのものを忘れ、そのままの格好で何故椅子に座ったのだろうか…自分自身でも理解不能。
とりあえずベットの上にある毛布を羽織ると何か再度椅子に座る。
「もういいですか?」
振り向いても良いか許可を求められたため答える。
「…いい」
モリアーティはゆっくりと振り向くとまだ顔を赤らめたまま喋りだす。
「何で裸だったんですか!」
当然の反応である、しかし自分も何故何も着ずに座ったのかは説明できない。
「…わ…わか…」
「わからない…ですか」
「…うん」
「とりあえず服を用意しますから着替えてください!」
首を縦に振り了承したのを伝えると部屋を出ていった。
それから数分後服が用意されたので着替える。
着替えている途中でわかったことだが、この体は声を出すことが苦手なようで意思疎通が難しいことがわかる。
そのせいでサイズなどの注文をするときに苦労した。
「お…おわ…」
「終わりましたね」
着替えた事を何とか伝えると部屋へと入り。
「それでは頭領のもとへと向かいましょう」
「…うん」
それから部屋を出てロバートのいる船長室に向かった。
「ジェームズ・モリアーティです。入ります」
船長室は先程までいた部屋にそっくりな作りになっおり窓の前には先程の男が立って行く。
「よく来たね、さぁ好きに座りなさい」
座るよに誘導されたため目の前の椅子に座った。
「さて、早速で悪いが君の事を聞かせてもらおう」
やはり来た、しかし自分でもわかっていない今の状態、どう答えて良いかはわからない。
「わ…わか…らな…」
「わからない…か…」
首を縦に降ると。
「記憶がないのだろう…一度カードを発行してもらったほうがいいのかもしれない」
"カード?"突如不思議な単語が出てきたので少しばかり気になるが今は置いておこう。
「それでは名前は?」
首を横にゆっくりと降ると困った顔になった。
「名前もわからんとなると…うん〜」
何に困っているかはわからない。すると
"ファイル選択、名前、分類、知識、この世界の名前とは能力を表している"
突如頭の中で声がした。
そのおかげでビクッと体が反応してしまった。
「大丈夫かい?」
モリアーティが寄り添って来るも。
「だい…じょ…うぶ」
モリアーティに大丈夫だと伝えると少し驚いた顔になって下がる。
それからその声に話しかけることにした。
"あなたは何者?"
問いかけてみるとすぐに返事が来る。
"スキル、大図書館、知識の泉にて蓄積された知識を活用する能力"
"要するにその大図書館とやらのスキルが発動した声と言うことか"
それからこのスキルを使ってこの世界の人間の事を聞いてみたら直ぐに答えが帰ってくる。
"人間とは生まれてすぐ名前を付けられると何らかの特殊能力が付与される。
その能力は個人差が激しく強力なものから非力なものまで、能力は基本鍛える事ができず生まれ持った才能に分類される。"
"なるほど能力の判別ができないから困っていたのか"
そんなふうにスキルを使っていくと。
「よし、名前をつけよう」
変な流れになっていた。
頭の中で知識を習得していくうちに話が進み、記憶喪失なら一時的にも名前を付けてやればいいと言う事になったらしい。
「何がいいかな…」
ロバートが悩んでいると。
「ミラってのはどうです?」
モリアーティがすんなりと名前の案を出す。
結果、その案は採用された。
「あなたの名前は今からミラです、よろしくお願いしますね」
ミラと命名されると体の周りに不思議な光が出現。
"能力、雷神のミラを取得しました。"
どうやら電気に関する能力が発現したらしい。
「これで名前に困らなくてすむな」
ロバートはそう言うと頭をなで始る。
最初と違って悪い気はしなかった。
こうして新しい名前をもらったわけだが、何やら不穏な影が船に近づいているのをまだ知る由もない翁改めてミラであった。
第三話でーす!!
またもやこんな駄作を読んでくださりありがとうございます!
次回からはできたら毎日のペースで20時には投稿しようと思いますのでよろしくお願いいたします。
誤字などの問題点がありましたら気軽に教えてくれると助かります。
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