『幕間2:ネーミング』
やあ、また会えたね。
ん? そんなにじっと見てどうしたんだい?
…………もしかして、ボクが今読んでいた本が気になるのかい?
前にも言ったと思うけれど、ボクの『魔法』は世界を物語として客観的に見れる。その物語というのが、この本なんだ。
物語を綴っているのが誰かはわからないけれどね。
さて、今日はなんの話をしようか?
謎は様々あるだろうけれど、今回はそれぞれの国における、『名前』や特徴についてにしようかな。
あくまでも物語に出てきている国についてだけだけれどね。
まずはナチュレ国。国名は『自然』や天然を表すナチュラルという言葉から来ているらしい。
民は『自然』と共に暮らしており、『自然』の、特に緑を神として信仰している。
フルーツや花で有名なだけあって、人々は植物の『名前』をラストネームにしている。そしてファーストネームは属性を示している。
たとえばリーフェル・ライラック。ハヤテの義姉にして保護者の少女。現在は大和ノ国にいるらしいね。
彼女の魔法は木属性で、リーフという言葉をもじったファーストネームに、ライラックというラストネームを持っている。余談だけれど、ライラックの別名はリラというらしい。
次はホロウリィ。国名は空しさや虚ろを意味している。これは空に浮かぶ『星』の輝きが夜だけだという儚さを現しているらしい。
民は『星』そのものと、『星』の力を宿す者、『星』から神託を賜る者の三柱を信仰している。つまりホロウリィの政治的トップは二人ということだ。
星空の美しさはもちろん、漁業が盛んで、港町としても有名だ。海賊に襲われることもあるようだけれどね。
この国の人々は『名前』に『星座』を含んでいる。そして、魔法そのものを表した言葉や、その人の立場なんかも含まれるらしい。ただしその表現の仕方は人それぞれだけれどね。
たとえばソナーレ・リラ・センティート。リーフェルの親友であり、フレアと旧知の仲、そしてハヤテの家族でもある。
彼は音の魔法を使うため、ソナーレとセンティートは音楽用語が用いられている。ソナーレは演奏をする、センティートは感情を込めて……演奏に込めた感情により、効果が変わる魔法なんだろうね。
このリラというのは琴座のことであってライラックではないけれど、ソナーレ自身は別名であることを気に入ってるようだ。
最後に、大和ノ国について語って終わろうか。
大和ノ国の国名は、清らかで死を恐れない気概や精神を表す、大和魂というものから来ているらしい。
信仰している対象は複数で、八百万の神という言葉もあるんだとか。人が祀り上げられたかと思えば、仏像を神だと祀る場合もあるし、地域や環境によるということだろうね。
唯一の島国であり、何年も他国との交流を絶っていたんだ。鎖国と呼ぶらしいね。
『家名』を姓とし、名前には魔法やその人の特徴を含む。珍しいことにこの国では『家名』を代々受け継いでいるんだ。
たとえば六月一日宮銀紙。トールを慕う従者にして、月読の同僚でもある。
武家である六月一日宮家に産まれたものの、盲目ではまともに刀を振れないと判断され、なまくらを表す銀紙と名付けられたらしい。だから刀ではなく竹光を使うのかもしれないね。
さて、今回はこれくらいにしようか。
ボクの話は君の役に立っただろうか?
この世界にはまだまだ謎が多い。それに、まだ三国しか説明できなかったからね。
またボクは『物語』を読みながら、君が……君達が来るのを待つとするよ。
じゃあ、またね――




