何かに巻き込まれたみたい。
初めて書きました!
「目覚めよ勇者、よもや召喚に失敗したのではあるまいな?」
「いえ、そのようなことは…じきに目を覚ますはずにございます」
勇者とか召喚だとか非現実的な単語を耳にしながら意識が徐々に戻ってきた。まだ意識がぼんやりとしている中、辺りを見渡すとそこには鎧やらローブやらを着込んだ人たちが見えた。疑問に思い更によく見回すとそこは映画なんかでしか見たことのない玉座、豪華な内装、まるで城の中の王様のいる部屋みたいな所だった。何故自分はこんなところにいるんだろうと疑問に思いながら、体に異常がないか確認しながら立ち上がり隣を見てみるともう一人倒れていた。
「おい、起きたほうがいいぞ」
倒れている男を揺らしながら声を掛けると男はゆっくりと起き上がった、そしてその男は…理不尽な程のイケメンだった。
(なんだこの主人公顔は…。自分が情けなくなってくるな、同じ人間なのに…俺だって普通なんだ!普通の何がいけないんだ!)
「ここは一体どこですか?」
心のなかで熱くなっているとイケメンが話しかけてきた。
「さぁ?俺も起きたばっかりなんだ」
イケメンとそんなやりとりをしていると王様らしき人が玉座から声をかけてきた。
「おぬしらは勇者か?勇者は1人のはずであるが…」
また非日常的な単語がでてきた。
「勇者ってなんのことでしょうか?」
イケメンが王様に問い返した。隣の姫様らしき人物を見てみると顔を赤くしている。何故だ…。
「陛下、おそらくですが自分が勇者であることは認識していないものと思われます。確認のための準備がございますがいかがなさいますか」
「そうか、では早速始めよ」
臣下の辺りが王様にそう行って外に出て行った。
「さて、準備が整うまでの間、何故勇者を召喚したのか説明しようかの」
王様は急に語りだし、いかに自分達が正当で勇者が必要であるかを言い出した。内容としては、今、魔王軍と戦争中だから力を貸せ的な感じだった。あんまり聞いてなかったけどたぶんそんな感じだ。
「…と、言うわけじゃ」
(手伝うのが前提みたいな言い方をされてもなー…)
「僕にできることがあればなんでもやります!!」
(えぇーなにこのイケメン、やるなら1人でやって欲しいな)
「どうやら準備が整ったようじゃの」
運ばれてきたのは、机、それに座布団のような物の上に手のひらサイズの水晶球だった。
「これに手を当ててください」
「それだけでいいんですか?」
そう言いながらイケメンは早々に水晶に手を当てた。すると、水晶が光り出し空中に文字が浮かび上がった。
「うわっ!なんだこれ?!」
イケメンが驚いたようなワクワクしたような顔で文字を眺めている。その顔を見て姫様がぽーっと顔が赤くなる。
「本当になんなんだこれ」
「これはその者のステータスが分かる優れものでしてな、どれどれ…こ、これは!?紛れも無いこの方は勇者でございます!」
後から俺も文字を覗いてみた、何故か文字が読めたのでそのまま眺めてみる。
勇者
ユーキ カミシロ
戦力800
体力10000
魔力2500
攻撃力2000
防御力2500
素早さ3500
特性
経験値百倍、一見百聞、高速回復、破邪、耐魔力、直感
スキル
剣術(0)
光魔法(0)
火魔法(0)
「王様!これは過去にも類を見ないほどの能力の持ち主でございます!!」
「ほほぉ、世の目に狂いはなかった!やはり勇者であったか!」
姫様の顔がぽーっと…王様の目に狂いは無くてもこの世は狂っているようです。
「王様これで一体何がわかるのでしょうか?」
「今はよい、説明は後じゃ、隣の者も早く手をあてよ」
勢いに押され俺も水晶に手を当てた。するとそこには悲惨な結果が映しだされていた。
召喚士
トーヤ カツラギ
戦力1
体力10
魔力20
攻撃力1
防御力1
素早さ1
特性
スキル
究極召喚(200)
「なっ?!自分のだけどこれは酷いなっ!」
もう笑うしかないので笑っていると、王様が静かにキレた。
「笑っておるが、面白いのか?もっと笑っていいぞ存分に、さぁ笑うがよいスライム以下のゴミめ、どうした?もう笑わぬのか?」
(ゴミって…言いすぎだろ!なにあの隣の姫の顔!光がないよ!お姫様がしていい顔じゃないよ!)
「おい、ステータスの説明をしてやれ」
王様の代わりに臣下の1人が説明を始めた、つまり戦力とは戦う力。体力と魔力を除いた純粋な戦闘力の事を言うらしい。そう俺の戦力は1だ。次に特性とは本人の持っている性質のことらしい、これは生まれながらに持っている先天的な物で、後から付くことはほとんどないらしい。イケメンは経験値百倍とかいろいろ付いてるが俺は何もない。最後にスキル、スキルは持っている時点で素質がある。ようはスキルがあるだけでその道の天才になれる可能性があるってことらしい。スキル名の隣の数値が熟練度、魔法やそこら辺のスキルの強さは熟練度によるらしい。スキルは後天的に付くことはよくあるらしいがやはり最初から持っている奴には勝てないだとさ。
「となると俺は究極召喚ってやつの天才でしかもう熟練度が200もあるってことか」
「そういうことになるな、確かにステータスは低いがもしかしたらスキルが強力なのかもしれん。通常の召喚とは異なるのだろう、一度使ってみたらどうだ?」
俺が1人でつぶやくと説明していた臣下がそう言ってきた。
(いきなり使えって言われてもな…あれ?王様あれ寝てるよね…?まぁいいや)
俺はスキルを使おうと意識を集中させた。
(あっでた)
目の前の空中になにやらゲームのような画面が現れた。その画面をじーっとみているとなんとなくだが使い方がわかってきた。左下の方に召喚、強化、確認、中央下には今の自分の体力と魔力が書かれている。
(これ、前やってたタワーオフェンスの画面みたいだな、今の自分の魔力が確か20だからとりあえずスライムでも召喚しとくか)
そういい画面の召喚を押したあとスライムの文字をタッチすると目の前にスライムが現れた。
「おっ!出たぞ!!」
周りを見回すと全員が冷めた目でこちらを見つめていた。そしていつのまにか起きていた王様が大声で叫んだ。
「もうよい!!勇者は別室で今後の予定を伝えて置いてくれ。」
「承知いたしました。」
そそくさと逃げるように臣下達がイケメンを別室へと連れて行った。
「さて、おぬしの処遇についてじゃが、もうこの後は好きにしてよいぞ」
「好きにって…元の世界には?」
「無理じゃ、だから好きにしてよいぞ」
(いやいやいや、なに言ってるのこの人!急に召喚して、ぽいっかよ!)
「んっ?まだおったのか、それとも無理矢理追い出されたいのか?」
無理に追い出されて少ない10という体力がなくなったらどうなるかわからないので大人しく外へと歩き出した。
「ついてこい、こっちが出口だ」
素敵なエスコート役に導かれ城の門を出て、城下町すら抜けて平原まで案内されてしまった。
「おい、お前」
落胆していると案内役が話しかけてきた。
「さすがに可哀想だからな」
そう言って、巾着を渡してくれた。
「3日くらいならそれだけの金で過ごせるはずだ、それ以上のことはできんがな」
「ありがとうございます!!!」
「いや礼を言われる筋合いはない、じゃあな」
案内役は門の奥へと行ってしまった。
「金だけあってもな…、ちょっといいですか?」
「なんだ?」
近くにいた門番に話しかけると普通に返してくれたのでそのまま質問を続ける。
「ここから一番近い町はどこですか?」
「ここだ」
「そうですかじゃあ入れてください」
「駄目だ」
じゃあ言うなよ!!!と言いたい気持ちをぐっとこらえて。
「ここ以外で一番近い町はどこですか!?」
「急に大きな声をだすな…、ここを西に歩けばあるぞ今から行けば夕方ごろにはつくだろう」
「はい、ありがとうございました!」
こんな時は叫ぶのが一番だ。
「あぁ、また来いよ」
「こんな所に誰が来るかぁ!!」
「時々ゴブリンができるから気をつけろよ!!!」
と門番の姿が小さくなってから大きな声で叫んだ。向こうも何か叫んでたみたいだけどたぶん悪口だろうから気にしないでおこう。
「はぁ、どうしてこうなった、思い出せばそう…あれ?何してたんだっけ?」
ここで初めて召喚前の記憶が飛んでいることに気付く。自分が誰かも思い出せるが直前の記憶だけが抜けているらしい。
「あぁ、最悪だな…急に異世界らしき所に召喚されて、落ちこぼれで追い出されて、移動は歩きだし唯一の頼みはスキルだけか…生命線だな、もう一度ちゃんと確認しておくか」
西へ歩きながらスキルを使うよう意識すると、召喚画面をもう一度開くことができた。
「やっぱり何度みても前やってたゲームに似てるなー」
タワーオフェンス、敵の拠点をユニットを召喚して攻め落とすゲームだ。やっていたゲームはこっちが攻めるだけでなく向こうも攻めてくるのでディフェンスの要素も含まれている。そしてなによりそのゲームの特色と言えば、敵が最後までやってくると召喚モードから単騎モードに切り替わり自分の手で敵を倒すことが出来たことだろう。これがまた強くて強くて、単騎モード、つまり自分の強化だけして単身で拠点に突っ込んでくる敵なんかもいて、なかなか面白かったのを覚えている。
「懐かしいなー自分だけ強化して敵の拠点突っ込んだりして…ん?自分を強化…もしかして…あった!やっぱりあった、単騎モードで自分の強化ができる!まずは魔力の強化だな、魔力がないとなにもできないからな」
ひとまず魔力を上げたのはいいが重大な事に気付いてしまった。魔力が回復していないということだ。
「これはまずいな、宿屋で寝ないと回復しないとかかな?うわーいきなり挫折だよ…」
「ギャッギャ!!」
「誰だ!変な笑い方した奴は!!」
目の前をよく見ると緑色で角の生えたゴブリンみたいなやつがいた。
「まさかこれはゴブリン?」
「ギャッギャ!!」
「これはまさに絶対絶命というやつか…」
急いで召喚画面を開くも残りMPは5、ゴブリン一体分だ。
「いないよりはましましか…ゴブリン召喚だ!」
叫ばなくても召喚できるのだが、どうしても力が入ってしまう。召喚画面を出したままゴブリン同士が殴りあうのを眺める。
「うわー…泥仕合、あれ?」
2体のゴブリンが殴っては殴られ、殴っては殴られを繰り返して、なんだか熱い青春マンガみたいなことをしていた。召喚画面を見てみるとMPが回復していることに気付いた。
「回復してる!一秒に2回復するからもう全回で40になってるな、よし!」
一気に上げまくったが途中でまた魔力が回復しなくなってしまった。
「ちくしょうっ!またか!!」
ふとゴブリンのほうを見ると相打ちで戦闘が終了していたようで召喚したほうのゴブリンは跡形もなく消え去っていて、魔物のほうのゴブリンはボコボコのボロボロの状態で死んでいる状態だった。
「うわーぐろいな…まぁでも魔力もかなり上げれたから少しは楽になったかな」
ゴブリンの死体をそのままにしておいてまた西へと進んでいく。おそらくだが戦闘中にだけ魔力が回復するんだと仮定してみた。
「もう一回くらいゴブリン出てこないかな」
「ギャッギャ!」
「なー本当にそう思うよな」
「ギャッギャ!!」
「って出た!待ってたよゴブリンくん!!」
すぐさま召喚画面を開くとやはり魔力が回復し始めていた。戦闘中だけ回復するで間違いないようだ。そのままゴブリン三体を召喚した。
「いけぇ!ゴブリンそのゴブリンを取り押さえるんだ!」
命令を聞いてくれるかどうか不安だったか聞いてくれるみたいで三体でゴブリンを取り押さえた。
「ここじゃあれだな、道から外れたあっちの茂みまで抑えたまま移動しろ!」
ゴブリン二体が両脇で抱えてもう一体が後から足をもってそのまま茂みまで移動を始めた。
「へんなの…まぁいいや気を取り直して自分の強化でもしようか、おっスキルも特性も取得できるのか」
身体強化、鑑定、広域感知、火魔法、剣術、物理耐性、魔法耐性、異常無効、消費魔力軽減を取得した。物理耐性、魔法耐性は1/3、消費魔力軽減は1/5にするものだ。他は全て熟練度で最大値の200まで上げておいた。ちなみに熟練度は持っている時点で素質あり。10からが普通、100からが強者、200で達人と呼ばれそれを超えると神域になる。ちなみにゴブリンのユニットレベルを100まで上げたら、戦力50、召喚数50になった。つまり戦力50のゴブリンを50体、魔力消費2で召喚できるようになったということだ。ちなみに自分の強さは勇者の約二倍くらいにまで引き上げておいた。
「とりあえずはこれくらいで問題はなくなったな、ゲームと同じでよかった説明書なんていらないし、召喚しなくても単騎モードでだいたいのことはなんとかなるだろうし、ゴブリン召喚したら50体もでてくるし…」
ちなみに一回召喚するとクールタイムがありゴブリンの場合は1秒だ。ユニットを強くすればするほど反則じみてくる。ゲームの時は敵も同じことができたからそうでも無かったが、この世界では同じことができる人間がいるとは思わない。
「つまり無敵か」
そして夕方になるころ、ようやく町が見えてきた。少し大きな町なようだ。さっきの城があった所ほどではないが、ちょっとした壁に囲まれていて門があり、門にはもちろん門番がいる。
「あーやっとか…今日は早めに寝たい…」
町の入口に立ち門番に話しかけた。
「すいません、入りたいんですけど」
「ようこそ!レトナークへ!身分証を拝見します!」
「身分証…?」
あぁ、まだ宿屋でゆっくりできるのは遠いようだ。
息抜きに書いたので、物凄く稚拙ですが怒らないでください。
一部変更しました。
消費魔力軽減 1/3 → 1/5 にしました。