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夏の涼風  作者: 海獅子
8/36

第8話 廊下で遭遇


 それから2日後の休み時間。




 「お〜い、諒、先に行っているぞ〜」


 「うん、ちょっと遅れるから先に行っててよ、螢一」




 次の授業は、科学実験室で実験があるので教室移動なんだけど。

準備に手間取り、螢一を先に行かせた。




 *********




 「みんな早いなあ・・・」




 準備に手間取った結果。

みんな先に行ってしまい、僕一人だけで実験室に向かっていた。


 準備室は、校舎の離れた場所にある為。

周りは、基本的に人気が無い。


 誰も居ない廊下を一人、歩いていると。




 「わっ!」


 「うわぁぁっ!」




 突然、背後から声と共に、背中に誰かが抱き付く。


 ビックリした僕は、思わず声が上げてしまった。


 驚いて振り向くと、そこには相変わらず上品な空気をまとった。

涼子先輩が居たのだ。




 「よっ♪」


 「ああっ、ビックリした」




 シュピっと右手を上げて。

文字通り、イタズラが成功した子供のような笑顔を見せる。




 「イキナリ脅かさないで下さいよ!」


 「えへへっ、ごめん、ごめん」




 一応謝るが、まるで悪気の無い笑顔のままでいる先輩。


 黙って居れば、お淑やかなんだけど。

意外に、茶目っ気が有りすぎる所があるんだよなあ・・・。


 それでも上品さが崩れないのは、才能かな?




 「諒くんは、どこに行くの?」


 「次が科学の実験だから、実験室に行く所です」


 「ふ〜ん」


 「そう言う先輩は、何ですか?」


 「ん、う〜ん・・・、ないしょ♡」




 そんな僕の内心には気付かず、行き先を尋ねる先輩。


 しかし、逆に僕が尋ねると、はぐらかしてしまう。





 「じゃあ、もう行かないと遅れてんで」




 余り時間が無い僕は、先を急ごうとする。


 だが。



 

 「(ギュッ!)」




 先輩が抱き付く力を強めた。




 「ねえ、もうチョット、お話しよ」


 「せ、先輩、急がないと遅刻してしまいますよ!」




 そう言って、急ぐのを妨害する先輩。


 それも、強い力で抱き付く物だから。

自然と密着する形になり、先輩の柔らかい体の感触に、思わず胸の鼓動が高なる。


 タダでさえ急いでいるのに、その感触が加わり。

僕は、(あわ)て出した。




 「鐘が鳴るには、まだ間があるけど?」


 「あの先生は、鐘が鳴ると同時に入るんですよ!」




 そうなのだ、次の科学の先生は、鐘が鳴ると同時に入るので有名だ。




 「心配しなくても、大丈夫よ〜♪」


 「全然、大丈夫じゃない!」





 なぜか、根拠の無い安心を言い出す先輩。


 それを聞いて、更に(あせ)る僕。




 「お願い、行かせてー!」


 「い・や・よ〜♡」




 僕が必死で懇願(こんがん)するが。

先輩が悪魔の微笑みを浮かべながら、僕を妨害する。


 それからしばらくして、ようやく先輩の拘束から脱出したが。

当然、授業には遅刻して、先生から大目玉を喰らってしまった・・・(涙)



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