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夏の涼風  作者: 海獅子
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第6話 だ〜れだっ

 翌日の昼休み。




 「先輩、来てるかな・・・」




 僕は昼食を急いで済ませると、先輩に会いに図書室に向かっていた。


 昨日、せっかく先輩と親しくなれたんだから。

もっと、色々な話がしたい。


 そう思いつつ、急ぎ足で廊下を歩いた。




 *********




 図書室に着くと、静かに戸を開けて中に入る。




 「(あれっ、今日は居ないのかなぁ〜)」



 中を見渡すと、昨日とは別の図書委員と、2人の生徒がいるだけで。

先輩の姿は無かった。




 ”しょうがない、今日は一人で本を読むか”



 そう思い、棚から適当な本を取り出し、近くのテーブルに座る。


 本を読みながら、先輩の事に付いて考えてみる。




 「(そう言えば、何で今頃、先輩の姿を見るようになったんだろうか?)」




 僕は入学して、もう三カ月近く経つの、急に先輩の姿を見たのだ。


 その事について、考えていたら。




 「だ〜れだっ♡」




 突然、本を読んでいた視界が暗くなった。


 どうやら、誰かが目隠しをしたようだ。


 この手の冷たさ、そして、僕にこんな事をする様な女の子と言えば。




 「ひょっとして、涼子先輩?」




 そう言ってみた。




 「ふふふっ、正解♪」




 振り返ると、先輩がニコニコしていた。




 「良く分かったね」


 「この手の冷たさだし。

それに、僕にこんな事をしてきそうなのは、先輩だけですよ」


 「そうなの?」


 「今時、こんな事する娘は居ませんし。

第一、僕にする娘なんて居ませんよ」


 「ふ〜ん、可哀想ね・・・」


 「ほっといてください」


 「ごめん、ごめん」




 そう言って、僕の頭を撫でる先輩。




 「でも、私の手って、そんなに冷たいのかな・・・」




 自分の手を見て、(つぶや)く先輩。




 「でも、先輩。

手の冷たい人は、心が暖かいって言うじゃないですか」


 「・・・ありがとう、諒くん」




 そう言って、僕に飛びっきりの笑顔を見せる先輩。


 その笑顔を見て、僕はドキリとした。




 「そう言う諒くんこそ、暖かいんだよ」




 先輩が僕の頬に手を当てながら、そう言った。




 「ホント、暖かいよねえ・・・」




 僕の頬に手を当てると、今度はユックリ愛おしむ様に撫で出す。


 僕を撫でる先輩の手は、外から入って間が無い、ほてった体にはとても気持ち良い。


 気持ち良い先輩の手に僕は、再び成すがままになっていたのだった。



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