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夏の涼風  作者: 海獅子
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第5話 あれっ!

 しばらく、先輩が僕の頬を撫でていると。

先輩の手の気持ち良さに思わず。




 「先輩、気持ち良いです・・・」




 と言ってしまった。


 すると、その声を聞いた先輩が。




 「ふふふっ、諒くんは可愛いなあ」




 そう言って顔を緩め。

頬を撫でていた手を、頭に移動させた。




 「(スーーーッ、スーーーッ)」




 先輩の手が僕の頭を滑る。


 僕の頭を滑りながら、髪を指の間に通していた。


 先輩の細くて滑らかな指が、髪の中を滑って行く。


 髪に抵抗なく滑る感触と、ヒンヤリした温度が相まって。

心地良さが頭に広がる。




 「そう言えば、あの子も小さい頃は良く、こうしていたなあ。

諒くんを見ていたら、あの子の事を思い出しちゃった」




 先輩が顔を緩めたまま、僕の頭を撫でながら、そう言った。




 「(スーーーッ、スーーーッ)」




 僕の方はと言うと、余りの心地良さに目を細めてしまい、先輩の()すがままになっていた。



 *********



 ・・・


 「・・・くん」


 ・・・


 「・・・うくん」




 う〜ん




 「諒くん、ほら、もう時間だよ」


 「えっ?」




 先輩に頭を撫でられている内に、いつの間にかウツラウツラしていたみたいだ。


 カウンターの上の時計を見ると、もうすぐ閉館時間だ。



 

 「ふふふ、立ったまま寝るなんて、器用だね諒くん」




 そう言って、先輩が笑っていた。


 僕は、寝起きに近い状態で、イマイチ頭が回らない為。

自分の状況が、すぐに理解できていなかった。

 


 

 「じゃあ、私は先に行くね。

諒くんも、早く帰るのよ〜」




 そう言って、先輩が図書室を出ていく。


 やっと自分の状況が飲み込みた僕は。

恥ずかしくなり、弁解しようとして、急いで先輩の方を見た。




 「あれ?」




 先輩の方を見たが、そちらに先輩の姿は無かった。


 もう既に図書室を出たのかと思ったが。

出入り口の戸を開け閉めした音は、聞こえ無かったはずだ。




 「(バタバタバタ、ガラッ!)」




 諦めきれない僕は、急いで出入り口に行き、先輩の後を追った。




 「あれれ??」




 勢い良く戸を開け、廊下を見るが、その姿は見えない・・・。


 ”先輩、ウサイン・ボルトなんですか?”と、変な事を想像していたら。




 「(あのね、あなた・・・。

入り口で騒いでないで、いい加減、早く帰りなさいよね・・・)」




 そんな視線がしたので振り返ると、カウンターの中から、あの図書委員の女の子がこちらを見ている。


 その女の子は、ボブと言うより、おかっぱと言った方が良い様な髪型で。

しかも、眼鏡をしていて、何と言うか、”委員長”と言う単語が頭に浮かんだ。


 しかし、その女の子は、背後にドス黒いオーラを放出しながら。

こちらを見ていた。




 「さ、さようならーーーーー!」




 僕は、その女の子の剣幕に押されて、一目散に退散した。




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