後日談 転がされる僕2
今回で終了です。
「いっけな〜い!」
しばらく、お互い抱き合っていたら、突然、玲先輩が叫んだ。
「今日は、図書委員の当番の日だったから。
早く図書室に行って、図書室を開けないと!」
そう叫びながら、僕から慌てて離れる。
しかも、玲先輩の雰囲気も。
先ほどまでの、柔らかな雰囲気からいつもの雰囲気に戻っていた。
「そうなんですか?」
「そうよ、図書委員は夏休み中でも、図書室は開放しているから。
当番の日は、学校に出てこないとイケナイのよ。
今日は、当番だけと、遅れたから慌てて来たの。
そしたら遠くで君を見掛けたから、ここに来たって訳」
「それで、図書室が閉まっていたのか。
図書室が閉まってから、僕はここに来たですよ」
なるほど、それで来たとき図書室が閉まっていたのか。
「私が芝山涼子と合体したのは、昨日の夜だから。
本当なら二学期が始まって、この事を話そうと思ったけど。
君を見たから、この事を話そうと思ってここに来たのよ」
「ああ、それで」
「ああ、早く行かないと。
さあ一緒に来て手伝って、あなた、私の彼氏でしょ」
「えええっ!」
イキナリの彼氏宣言と自分の手伝いをする様に言うと、僕の手を掴み走り出した。
僕は、そんな先輩の横暴に、抗議の声をあげる。
「何よ!」
「だって〜」
「お願い、諒くん」
「・・・」
そんな先輩に反論しようとするが、いきなり先輩が立ち止まり、こちらを振り返ると。
今度は、一転して柔らかな雰囲気になりながら、上目遣いで両手を合わせ、甘えた様に僕におねだりをしてきた。
ああ、これは涼子先輩の使う手だ。
「・・・分かりましたよ」
「ふふふっ、ありがと」
先輩がしてやったりと言った表情で、微笑んでいた。
「そうと決まれば、急ぐわよ。
手伝ってくれるって言ったんだから、シッカリ手伝ってよね」
「そんな〜」
先輩の雰囲気が元に戻ると、そんな殺生な事を言った。
・・・
玲先輩の強引さと押しの強さに加え、涼子先輩の甘え上手が加わった。
ある意味、タチが悪くなったのだ。
涼子先輩の時でさえ、良い様に手の平で転がられていたのだが。
それに、玲先輩の要素が加わったのである。
手の平で転がされるのが。
西遊記のお釈迦様の手の平に、レベルアップしたのだと言えるだろう。
「はあ〜」
「何を溜め息を付いているの。
早く行きましょ」
そう言って、僕の手を引っ張る玲先輩。
「(これからこんな風に、アメとムチで使われる事があるのか?)」
先輩に手を引っ張られながら、そう思っていた。
「(まあ、これも幸せの一つの形かな?)」
しかし僕は、そんな風に考えながら、自分に納得させていたのであった。
夏の涼風 終
皆様、いつもチラシの裏を上げてますが。
今回は特に酷く、お見苦しい物を見せてしまい、大変申し訳有りません。
しかし、自分のポリシーとして。
一度上げたからには、できる限り完結させる様にしているので。
その点では、一応目的は達しました。
この様な物でも、最後までご覧になられた方がいらっしゃいましたら。
申し訳有りません&有り難うございましたm(__)m
それでは、皆様の御健康と御発展を祈りまして、この話を終了させます。




