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夏の涼風  作者: 海獅子
3/36

第3話 会いに来たのね


 それから、放課後。


 ようやく授業が終わった僕は。

急いで、図書室に向かった。


 また、あの女の子に会う為だ。


 放課後も来るかどうかも分からないが。

居ても立っても居られず、再び図書室に向かったのだ。



 *********



 「(ガラッ)」



 図書室の扉を開けると、相変わらず本棚の方に人が居ない。

カウンターには、昼休みと同じ女子の図書委員が居るだけだ。


 その娘は、僕が入ったにも関わらず、やはり顔を上げず本を読んでいた。


 この図書室は、放課後になると、更に人が居なくなる。


 テスト前でも無い限り、人影すら見ない。


 それでも未練がましく僕は、本棚の死角を覗いて見た。




 「(・・・誰も居ないか)」




 昼休みも居たから放課後も居るとは限らないか・・・。


 そう思いながら、帰ろうとした所。




 「私を探してたの?」




 その目的の女の子が、僕の背後に立っていた。


 声がしたので、驚いて振り返ると。

彼女の顔が、至近距離にあり、更に驚く。


 驚いた拍子に僕は、2、3歩後ずさった。




 「ごめん、ごめん、驚いた?」




 そう言いながら彼女は、優しく微笑んだ。




 「それで、私に何の用なの?」




 そう言って、上体を前に少し傾けて、僕の顔を覗き込む様にして見た。


 しかし、ただ彼女に会いたい一心で来ただけなので、特に理由を考えていなかった。




 「いや、その、あの・・・。

何で、僕に微笑んでくれたのかなと思って・・・」




 なので、僕はシドロモドロになる。




 「それだけ?」


 「・・・はい、すいません・・・」




 僕の答えを聞いて、彼女はキョトンとする。


 そんな彼女に、僕は消え入るような声で謝った。




 「ふっ、ふふふふっ」




 だが、しばらくして突然。

彼女が、口元に手を当てながら笑い出した。


 その笑い方も、とても上品で。

同世代の女子には無い物である        。




 「ごめんね、ちょっと意地悪だったかな」




 そう言って、舌をチョロリと出した。


 一見、雰囲気に合わなそうな。

そんな可愛らしい仕草も、意外と似合っている。


 意表を付かれた僕は、そんな彼女に見入っていたら。




 「・・・実は、私も君に会いたかったの」


 「へっ?」




 彼女が言った、予想もしない言葉に。

僕は思わずマヌケな声を出してしまった。



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