第25話 悪夢にうなされる
その日の夜中。
ベッドに入って寝ていると。
・・・
「もお〜、姉さんは〜」
「あ、姉さん・・・」
「危ない!」
「姉さん、無事だったの、良かった・・・」
・・・
はっ!
「(ガバッ!)」
はあ、はあ、はあ・・・。
「何だったんだ? 今の夢は・・・」
今、夢にうなされて、急に目が覚めたけど。
起きたら、内容を忘れてしまっていた。
けれど、とても悲しくて苦しい夢だった事だけは分かる。
「・・・あ、涙が」
頬が熱いので触ると、濡れているのが分かった。
なぜだろう?
今まで、こんな事は無かった。
突然の事に、混乱した僕は。
ベッドに身を起こしたまま、呆然としていた。
*********
翌日の朝。
「ふぁ〜」
「どうした、大きなアクビをして。
どうせ、昨日遅くまで、深夜アニメでも見たんだろ」
「違うよ」
朝起きると未だ眠気が残り、完全に目が覚めないが。
その状態のままで学校に行き、席に着くと、大きなアクビが出てしまった。
それを見つけた螢一が笑いながら、からかう様に言ってきた。
「ちょっと、夜中、しばらく眠れなくなってしまっていたんだよ」
「ふ〜ん」
僕はそう言うと、螢一が興味が無さそうな返事を返した。
だが、僕もそんな螢一より、眠気を抑えるのに必死だった。
*********
2時間目終了後の休憩時間。
「ふあ〜」
「どうしたの? 大きなアクビをしたね」
次の授業の為、教室移動をしている所で、またも一人だけ出遅れると。
やはり、狙った様に涼子先輩が現れた。
今回は必死になって頼んだので、まとわり付いて妨害しようとはしなかった。
それで、先輩と一緒になって歩いていたのだが。
そうしたら、いきなりアクビが出てしまった。
「あ、いえ、夜、急に寝られなくなったんで」
「そうなんだ。
私が一緒に居られるのなら、眠れるまで一緒に居たいんだけど。
私は、この学校の敷地から離れられないのよね」
そう言うと、先輩は下を向いてしまった。
「あれ? 先輩。
夜は、どうしてるんですか?
寝てるんですか?」
「私は幽霊?だから、寝る必要はないけど。
夜は暇だから、図書室で本を見たり、視聴覚室でテレビを見たりするの。
あ、そうそう、今は夜中にもアニメがあるんだね、結構面白いよね〜」
「はははっ・・・」
意外な先輩の言葉に、思わず苦笑いを浮かべた。
しかし、深夜アニメを見る幽霊?なんて・・・。




