第21話 先輩の体操服姿
しばらく、先輩に頭を撫でられて、文句を言う気も無くなった頃。
見計らったように、先輩が手を引っ込めた。
余りにも、僕のたずなを握る上手さに、それ以上、何も言えなかった。
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「あ、そうだ先輩、聞きたい事があるんですが」
「なあに?」
「話によると。
昔から、先輩を見かけるのが夏に限られるんですけど、どうしてですか?」
僕は、話題を変えようとして。
前々から気に掛かっていた事を、急に思い出したので。
先輩に尋ねる事にした。
「ん〜。
私も良く分からないけど、多分、生きていた頃、今頃が一番体調が良かったのが関係しているか。
あるいは死んだのが丁度、今くらいなのが関係しているのかもしれない、と思うんだけど・・・。
ただ私は一年中、この学校に居るけど、他人に見つかるのは今くらいが多いのよ」
どうやら、本人にもハッキリとした事は分からないらしい。
「あ、そうそう、私も思い出したけど。
上靴の色、なぜか、その年の3年生の色になるんだよね、不思議な事に」
「どうしてなのですか?」
「う〜ん、なぜなのか、私にも思い付かないの」
先輩も思い出した様で、そんな事を話した。
「それに、制服もなぜか自動的に、今のになってしまうんだよね。
昔は、膝が隠れるくらいなのに、今じゃ、こんなに短いんだよ」
そう言って、前かがみになると両手で膝の下辺りを、横から指差し。
次に、上体を起こすと、スカートの裾を摘んで持ち上げる。
すると、ムッチリとした太股が見えて、僕はドキリとしてしまった。
先輩が短いと言っても、膝上10cm位で。
他の所では、際どいミニスカの学校もあるのだが。
それでも、先輩の頃と比べたら短いのだろう。
「後、どういう訳か、体操服にもなれるけど。
その体操服も、その年の3年生の色になるのよ」
「へえ〜」
「あっ、体操服と言えば、今はブルマじゃなくなったんだよね」
「えっ」
イキナリ先輩が、そんな事を言った。
そう言えば、昔、ブルマと言うのがあって。
21世紀になる前に絶滅して、今では二次元かコスプレでしか、お目に掛かれかれなくなったんだよな。
「なに、今、私のブルマ姿を想像したでしょ〜♪」
「えっ、いや、違います!」
考え事をしていると、先輩が突然そんな事を言った。
僕は、からかわれているのだと分かっていても、どうしても慌ててしまう。
「分かったよ♪
じゃあ、特別に私のブルマ姿を見せてあ・げ・る」
先輩がそう言うと、突然、その場で身を翻して、一回転した。
そして、回転を終えて僕の方を向き直すと、先輩の服装がセーラー服から変化していた。
先輩は上が白が基調の、肩から袖に掛けて、赤いラインが入った。
僕が良く見る体操服の、3年生バージョンであるが。
その、下の方が、僕が知っているのとは全く違う物であった。
それは、いつも見慣れた短パンではなく。
また黒く身体に密着しているが、スパッツとか言われる物とも違う。
どちらか言うとパンツに近い、いわゆるブルマと言う物になっている。
「・・・先輩、変身できるんですね・・・」
「ふふっ、服装を変えることしか出来ないけど。
どお、私のブルマ姿は♡」
そう言って、右手を頭の後ろに廻し、左手を腰に当てながら体を反らせた。
要するにセクシーポーズを取ったのだ。
しかし、僕は視線を先輩から、思わず外してしまった。
なぜなら、上だけでも柔らかく体に密着する体操着なので。
普段、着やせして目立たない、先輩の胸が目立っている上。
下がショートパンツではなく、体の線が出やすく、脚の付け根まで露出したブルマなので。
大きな、お尻も、ムッチリとした太股もハッキリと見えていた。
「ん? どうしたの? こっちを見なさいな」
「ふんがっ」
だが、そんな僕を見て先輩が。
僕の頬を両手で挟んで、強引にこちらを向かせる。
「さあ、こっちを見なさい」
「ちょっ、ちょっと!」
強引にこちらを向けようとする先輩と。
それに抵抗する僕。
こんな風に、昼休みが終わるまで、僕と先輩は。
二人で、ジャレ合っていたのであった。




