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夏の涼風  作者: 海獅子
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第21話 先輩の体操服姿

 しばらく、先輩に頭を撫でられて、文句を言う気も無くなった頃。


 見計らったように、先輩が手を引っ込めた。


 余りにも、僕のたずなを握る上手さに、それ以上、何も言えなかった。




 *********




 「あ、そうだ先輩、聞きたい事があるんですが」


 「なあに?」


 「話によると。

昔から、先輩を見かけるのが夏に限られるんですけど、どうしてですか?」




 僕は、話題を変えようとして。

前々から気に掛かっていた事を、急に思い出したので。

先輩に尋ねる事にした。




 「ん〜。

私も良く分からないけど、多分、生きていた頃、今頃が一番体調が良かったのが関係しているか。

あるいは死んだのが丁度、今くらいなのが関係しているのかもしれない、と思うんだけど・・・。

ただ私は一年中、この学校に居るけど、他人に見つかるのは今くらいが多いのよ」




 どうやら、本人にもハッキリとした事は分からないらしい。




 「あ、そうそう、私も思い出したけど。

上靴の色、なぜか、その年の3年生の色になるんだよね、不思議な事に」


 「どうしてなのですか?」


 「う〜ん、なぜなのか、私にも思い付かないの」




 先輩も思い出した様で、そんな事を話した。




 「それに、制服もなぜか自動的に、今のになってしまうんだよね。

昔は、膝が隠れるくらいなのに、今じゃ、こんなに短いんだよ」




 そう言って、前かがみになると両手で膝の下辺りを、横から指差し。

次に、上体を起こすと、スカートの裾を摘んで持ち上げる。


 すると、ムッチリとした太股が見えて、僕はドキリとしてしまった。


 先輩が短いと言っても、膝上10cm位で。

他の所では、際どいミニスカの学校もあるのだが。

それでも、先輩の頃と比べたら短いのだろう。




 「後、どういう訳か、体操服にもなれるけど。

その体操服も、その年の3年生の色になるのよ」


 「へえ〜」


 「あっ、体操服と言えば、今はブルマじゃなくなったんだよね」


 「えっ」




 イキナリ先輩が、そんな事を言った。


 そう言えば、昔、ブルマと言うのがあって。

21世紀になる前に絶滅して、今では二次元かコスプレでしか、お目に掛かれかれなくなったんだよな。




 「なに、今、私のブルマ姿を想像したでしょ〜♪」


 「えっ、いや、違います!」




 考え事をしていると、先輩が突然そんな事を言った。


 僕は、からかわれているのだと分かっていても、どうしても慌ててしまう。




 「分かったよ♪ 

じゃあ、特別に私のブルマ姿を見せてあ・げ・る」




 先輩がそう言うと、突然、その場で身を(ひるがえ)して、一回転した。


 そして、回転を終えて僕の方を向き直すと、先輩の服装がセーラー服から変化していた。


 先輩は上が白が基調の、肩から袖に掛けて、赤いラインが入った。

僕が良く見る体操服の、3年生バージョンであるが。

その、下の方が、僕が知っているのとは全く違う物であった。


 それは、いつも見慣れた短パンではなく。

また黒く身体に密着しているが、スパッツとか言われる物とも違う。

どちらか言うとパンツに近い、いわゆるブルマと言う物になっている。




 「・・・先輩、変身できるんですね・・・」


 「ふふっ、服装を変えることしか出来ないけど。

どお、私のブルマ姿は♡」




 そう言って、右手を頭の後ろに廻し、左手を腰に当てながら体を反らせた。

要するにセクシーポーズを取ったのだ。


 しかし、僕は視線を先輩から、思わず外してしまった。


 なぜなら、上だけでも柔らかく体に密着する体操着なので。

普段、着やせして目立たない、先輩の胸が目立っている上。

下がショートパンツではなく、体の線が出やすく、脚の付け根まで露出したブルマなので。

大きな、お尻も、ムッチリとした太股もハッキリと見えていた。




 「ん? どうしたの? こっちを見なさいな」


 「ふんがっ」




 だが、そんな僕を見て先輩が。

僕の頬を両手で挟んで、強引にこちらを向かせる。




 「さあ、こっちを見なさい」


 「ちょっ、ちょっと!」




 強引にこちらを向けようとする先輩と。

それに抵抗する僕。


 こんな風に、昼休みが終わるまで、僕と先輩は。

二人で、ジャレ合っていたのであった。



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