表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏の涼風  作者: 海獅子
2/36

第2話 どうしたんだ?

 「おい、諒。

何、ボ〜ッとしているんだよ・・・」


 「(ビクっ!)」




 5時間目が終わった休み時間。

机に座っていた僕は、イキナリ話しかけられビックリした。




 「何だ、螢一(けいいち)か・・・」


 「”何だ”じゃないだろ。

どうしたんだ、お前。

昼休みが終わってから、ずっとその調子だろ」




 僕に話しかけて来たのは、浜山(はまやま) 螢一(けいいち)


 僕とは正反対の、スポーツ人間で、陸上部に所属していたが。

何故(なぜ)か馬が合い、いつの間にか友達になっていた。


 螢一は、もうすぐ大会と言う事もあり、落ち着いて居られないとかで。

特に最近は、昼休み時間も練習しているのだ。




 「昼休み、何か有ったのか?」


 「・・・いや、別に何にも無いよ」


 「だったら良いが、授業中もそうだと、指されるぞ」


 「わかったよ」




 そんなに呆けていたのか・・・。


 授業中、気を付けないと。




 *********




 6時間目の授業中。



 ・・・



 「(ボ〜っ)」




 授業が始まって、最初の方は気を付けていたが。

次第に、昼休みの時を思い出し、意識が内側に向かって行った。




 「(しかし、綺麗だったなぁ・・・)」




 僕は、あの綺麗な女の子の事を考えていた。


 小さい顔だけど、目が大きく、やや切れ長で鼻筋が通っていて。


 身長が女子にしては、高めで。

だけど、かなりの細身なので、モデル体型に近い。


 髪は背中までの黒髪で、ツヤツヤしていた。


 それらを引っくるめて、一言で言えば。

“和風美人”と言えるだろう。


 しかし何より、一番目に付くのは、その雰囲気である。


 今時、居ない様な、落ち着いたオーラを纏わせた姿は。

“和風美人”と言う印象を、一層強めている。


 だが、そう言うと、何だか冷たくて近寄りがたいと思われるが。

それとは別に、ふんわりとした心地良い感覚も同時に有るので、冷たさを感じられなかった。


 例えるなら。

真夏の木陰に入って感じる、涼風の様な物か。


 そう、彼女の事を例えて言うなら。そう言えるだろう。



 ・・・




 *********




 「・・・ま!」


 「(ボ〜っ)」


 「・・・ぬま!」


 「(ボ〜っ)」


 「・・・かみぬま!」


 「(ボ〜っ)」




 ”ビューーーーン”


 ”ビシィ!”




 「イテッ!」


 「お前は授業中、何をボケッとしている!」


 「(・・・クスクスクス)」




 チョークを投げられたらしく、額に突然痛みが走ると同時に。

壇上の先生の声と、周囲の笑い声が聞こえた。


 どうやら、ボケッとしている間に、先生に指されたみたいである。


 しかし相変わらず、この先生のチョーク投げの腕前は、百発百中だ。




 「ここの問題の答えは何だ!」


 「えっ、え〜と・・・」


 「お前は、授業中に何をしている。

なんなら特別に、お前だけ課題を出そうか?」


 「い、いえ、遠慮します・・・」


 「だったら、授業を聞かんか!」



 「(・・・クスクスクス)」




 授業中に、自分の世界に入っていたら、先生に叱られ。

周囲の笑い物になった。


 あれ程、螢一に注意されたのに。

トホホ・・・・。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ