第14話 噂話2
それから昼休み。
4時間目が終了すると、一目散に教室を脱出した。
今回は、先輩を探す為では無く、螢一の手から逃れるために。
授業中もシツコク絡んでくる螢一の事だから。
終わってグズグズしていると、螢一に捕まってもっと絡むのはモチロン。
食堂に行くことも出来なくなる可能性が高い。
なので、4時間目が終わると同時に、ダッシュで教室を出て行った。
*********
昼食を済ませると、僕は取りあえず図書室に向かう事にした。
今の所、先輩に出会える唯一の場所だから。
「(そう言えば先輩、昼食って、どうしているのかな?)」
いつも先輩は、教室で弁当を食べて来るって言ってたけどなあ。
しかし、どの教室にも居ない訳だけど・・・。
そんな事を思いながら、歩いていたら。
「ねえねえ、知ってる?
この学校出るんだって・・・」
「何が?」
「幽霊がよ」
2人の、一年らしき女の子が廊下の影で、ヒソヒソ話をしているのが聞こえる。
偶然、耳にした僕は、なぜか、その場に足を止めていた。
「えっ! そうなの・・・」
「うん、私、クラブの先輩から聞いたの。
何でも30年近く前、この学校で突然死んだ女の子が居たんだって。
それから毎年、今くらいになると出るとか」
「全然知らなかった・・・」
その話を聞いて、休憩時間の時、螢一が言っていた事を思い出した。
”あ、そうそう、その娘って言うのが。
この学校で急死したって、言ってたなあ”
バブルの頃だから、丁度、それくらいか。
「目撃されているのが。
少し切れ長の目をした、背中までの黒髪の和風美人と言う、共通点があるのよ」
えっ! 今時、そんな目立つ姿をしているのは。
先輩以外に、考えられないなあ・・・。
「同じ目撃談が何年も続いていて。
しかも、その特徴が、この学校で死んだ娘と同じだって」
「いやだ〜」
「それも目撃されているのが、図書室と校舎外れの大木の所で多く目撃されている、と言うのも共通しているの。
だから、あの大木付近には誰も近づこうともしないし。
図書室も、それが利用者が少ない原因の一つなのよ」
・・・
廊下の影で、ヒソヒソ話をしていた女の子達は。
いつの間にか、その場から立ち去って居なくなっていた。
しかし僕は、その会話を聞いている内に。
今まで、別々に聞いた話が一つに繋がり、分かったのだ。
”あ、そう言えば、名前がまだだったよね。
私は、芝山 涼子。
3年C組なの、よろしくね♡”
”まあ以前、親から聞いた事だが。
昔、この付近に芝山と言う大金持ちがいて、大邸宅を構えて。
ここら一帯では、有名だったんだと。”
” ところが、バブルの頃に息子と娘が立て続けに亡くなり。
バブル崩壊から家が傾き出す不幸に見舞われた挙句。
最終的には、21世紀を向かえる前に一家離散したそうだ”
”あ、そうそう、その娘って言うのが。
この学校で急死したって、言ってたなあ”
”うん、私、クラブの先輩から聞いたの。
何でも30年近く前、この学校で突然死んだ女の子が居たんだって。
それから毎年、今くらいになると出るとか”
”目撃されているのが。
少し切れ長の目をした、背中までの黒髪の和風美人と言う、共通点があるのよ”
”それも目撃されているのが、図書室と校舎外れの大木の所で多く目撃されている、と言うのも共通しているの。
だから、あの大木付近には誰も近づこうともしないし。
図書室も、それが利用者が少ない原因の一つなのよ”
・・・
先輩、あなたは、この世の人じゃなかったんですね・・・。




