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夏の涼風  作者: 海獅子
14/36

第14話 噂話2

 それから昼休み。



 4時間目が終了すると、一目散に教室を脱出した。


 今回は、先輩を探す為では無く、螢一の手から逃れるために。


 授業中もシツコク絡んでくる螢一の事だから。

終わってグズグズしていると、螢一に捕まってもっと絡むのはモチロン。

食堂に行くことも出来なくなる可能性が高い。


 なので、4時間目が終わると同時に、ダッシュで教室を出て行った。




 *********




 昼食を済ませると、僕は取りあえず図書室に向かう事にした。


 今の所、先輩に出会える唯一の場所だから。




 「(そう言えば先輩、昼食って、どうしているのかな?)」




 いつも先輩は、教室で弁当を食べて来るって言ってたけどなあ。


 しかし、どの教室にも居ない訳だけど・・・。


 そんな事を思いながら、歩いていたら。




 「ねえねえ、知ってる?

この学校出るんだって・・・」


 「何が?」


 「幽霊がよ」




 2人の、一年らしき女の子が廊下の影で、ヒソヒソ話をしているのが聞こえる。


 偶然、耳にした僕は、なぜか、その場に足を止めていた。



 「えっ! そうなの・・・」


 「うん、私、クラブの先輩から聞いたの。

何でも30年近く前、この学校で突然死んだ女の子が居たんだって。

それから毎年、今くらいになると出るとか」


 「全然知らなかった・・・」




 その話を聞いて、休憩時間の時、螢一が言っていた事を思い出した。




 ”あ、そうそう、その娘って言うのが。

この学校で急死したって、言ってたなあ”




 バブルの頃だから、丁度、それくらいか。




 「目撃されているのが。

少し切れ長の目をした、背中までの黒髪の和風美人と言う、共通点があるのよ」




 えっ! 今時、そんな目立つ姿をしているのは。

先輩以外に、考えられないなあ・・・。




 「同じ目撃談が何年も続いていて。

しかも、その特徴が、この学校で死んだ娘と同じだって」


 「いやだ〜」


 「それも目撃されているのが、図書室と校舎外れの大木の所で多く目撃されている、と言うのも共通しているの。

だから、あの大木付近には誰も近づこうともしないし。

図書室も、それが利用者が少ない原因の一つなのよ」




 ・・・



 廊下の影で、ヒソヒソ話をしていた女の子達は。

いつの間にか、その場から立ち去って居なくなっていた。


 しかし僕は、その会話を聞いている内に。

今まで、別々に聞いた話が一つに繋がり、分かったのだ。




 ”あ、そう言えば、名前がまだだったよね。

私は、芝山 涼子。

3年C組なの、よろしくね♡”


 ”まあ以前、親から聞いた事だが。

昔、この付近に芝山と言う大金持ちがいて、大邸宅を構えて。

ここら一帯では、有名だったんだと。”


 ” ところが、バブルの頃に息子と娘が立て続けに亡くなり。

バブル崩壊から家が傾き出す不幸に見舞われた挙句(あげく)

最終的には、21世紀を向かえる前に一家離散したそうだ”


 ”あ、そうそう、その娘って言うのが。

この学校で急死したって、言ってたなあ”


 ”うん、私、クラブの先輩から聞いたの。

何でも30年近く前、この学校で突然死んだ女の子が居たんだって。

それから毎年、今くらいになると出るとか”


 ”目撃されているのが。

少し切れ長の目をした、背中までの黒髪の和風美人と言う、共通点があるのよ”


 ”それも目撃されているのが、図書室と校舎外れの大木の所で多く目撃されている、と言うのも共通しているの。

だから、あの大木付近には誰も近づこうともしないし。

図書室も、それが利用者が少ない原因の一つなのよ”




 ・・・



 先輩、あなたは、この世の人じゃなかったんですね・・・。



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