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夏の涼風  作者: 海獅子
13/36

第13話 噂話1

 「はあ〜」




 休憩時間ごとに3年の教室に行き、涼子先輩に会おうとしたが、

どの教室に行っても。




 ”そんな名前の娘は居ないよ”




 先輩の存在を示す物は無かった。


 予想もしない状況に、混乱しながら僕は教室に戻ると。

机に座りながら、ため息を付いた。




 「おい、どうしたんだ?」


 「ん・・・」




 机に座り、ボンヤリとしていたら。

隣の螢一の声が聞こえた。




 「諒、お前、休み時間の(たび)に慌てて出て行って。

しばらくしたら、ガックリしながら帰ってくるからな」


 「ああっ」




 僕の様子がオカシイので、それで聞いてきたみたいだ。




 「なあ、螢一、3年の芝山涼子って人、知ってる?」


 「へっ?」


 「僕は、その人を探しているんだけど」


 「俺が、3年生の女子の事なんか分かるもんか」


 「だよなあ・・・」




 まあ、螢一が知っている訳ないか。




 「芝山、芝山・・・、ひょっとして、あの芝山と関係しているのかな?」


 「ん、螢一、何かしっているの?」




 先輩に関する情報が無いので、螢一の言葉に思わず反応した。




 「まあ以前、親から聞いた事だが。

昔、この付近に芝山と言う大金持ちがいて、目立つ大邸宅を構えたそうだ。

それで、ここら一帯では有名だったんだって。」


 「へえっ〜」


 「ところが、バブルの頃に息子と娘が立て続けに亡くなり。

バブル崩壊から、家が傾き出す不幸に見舞われた挙句(あげく)

最終的には、21世紀を向かえる前に一家離散したそうだ」


 「そうなんだ・・・」


 「あ、そうそう、その娘って言うのが。

この学校で急死したって、言ってたなあ」


 「ふうん〜」




 一縷(いちる)の望みを掛けたが。

結局、先輩に関する情報は得られなかった。


 そう思い、再びため息を付くと。



 「うん? 諒、何そんなにガッカリしている?

ああっ、お前、その娘に気があるんじゃないか?」


 「えっ」


 「そ、そんなじゃないよ!」


 「慌てる所と見ると、余計に怪しいぞ。

お前、年上が趣味だったんだな♪」


 「だから、そんなんじゃないよ!」




 それから螢一は、その事でシツコク絡んでくる。


 僕は、休憩時間はおろか。

授業が始まっても、小声で僕に絡んでくる螢一に、閉口していた。



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