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43話目:図書館

シローア帝国は、運河の恵みにより発展した国だった。運河は、時には作物の栄養をまたは水を、時には人と物の流通をもたらしてくれた。人の流れが多いと、すなわち情報の量もまた多いということだ。なのでここは、情報の溜まり場としても利用する人々があふれていた。


そして、ここにもその情報を求めてくる者がいた。



「ここの図書館に、魔王の居場所かなにかのヒントがないかな?」


「えー、恭介きょうすけさー、それより早くご飯にしようよー。」


「まったく、かおるは食いしん坊だよな、あいかわらず…。」



それは、教会のシンボルを胸につけた、男と女のカップルと、それに続く冒険者のパーティだった。男も女も年齢的には一番若いのだが、他の者はそれに従っている感じが見える。



「カオル様、お昼までにはまだ時間がありますゆえ、先に調べ物をしてしまいましょう。」


「えーー。ぶーぶー。」


「まあまあ、いいじゃないか。俺達って勇者なんだから、早いとこ魔王倒して、平和な世の中にしなきゃだしな。」


「うーー。わかった…。早いとこ調べ物して、ご飯にしよ!」



こうして、冒険者たちはシローア帝国国立図書館へと入っていくのだった。そして、ここにも図書館を利用する勇者達がいた。ただし、こちらは元勇者なのだが…。



-------------------------------------------------------------------



「ねえねえ、ところで図書館で何を調べるの?」


「ああ、うんとね…。僕って植物ならなんでも出せるでしょ。だったら、薬関係の植物を覚えておけば役に立つかなって思って。ほらっ、この世界って回復魔法があるから大抵の怪我は治っちゃうけど、病気関係になると効果ないでしょ。だから、薬の知識を調べようと思ったの。」


「へー、やっぱりすごいね誠二くんは。あっ、そういえばあっちの角の店に薬屋さんがあったよ。」


「えっ、そうなんだ!?じゃあ、先にそっちにいってみようか。」



僕らは図書館を後にし、先に薬屋をめざした。中に入ると、たくさんの植物が並べてあった。乾燥させて吊るしてある物や、ピンの中で液体の中に浮いてる物など様々だった。



「こんにちわ。ちょっと見せてもらってもいいですか?」


「ん?お客さんかい?ああ、かまわんよ…。」



店の奥から現れたのは、しわくちゃのおばあさんだった。黒い帽子とか被ったら、魔女と間違えそうな感じだが、見た目と違い愛想がよさそうだ。



「僕達、冒険者なんですけど、まだ初心者なんで、どんな薬草があるか知りたくて…。」


「ああ、冒険者かい。まあ、そうだね、確かに依頼の中には薬草の採取とかあるからね。まあ、いいよ。ちょうど暇だったし、少しばかり教えてやろうかね…。」


「ほんとですか!?ありがとうございます!」



それから僕達はこの店でいろいろな薬草を教えてもらった。そして、それらの情報を紙にメモし、簡単な絵もつけていった。絵の方は、七海に描いてもらった。七海は絵が得意らしく、かなり上手に描けていたので驚いた。


そして、店を出るころには日も落ちてきて夕日が見えていた。


おばあちゃん曰く、中々教えがいがあって楽しかったとのことで、必要以上にいろいろと教えてもらった。さすがに何も買わないのも人としてあれなので、薬草の類を何個か買って店を後にした。



「今日は図書館に行けなかったね…。」


「うん。まあ、でも、それ以上に収穫があったからね。本を読むより勉強になったよ。」


「そうだよね。おばあちゃん、いい人だったよね。」



図書館はまた今度でいいかな?今回調べようと思ってたことは、ほとんど習ったからね。しかも、実物まで見せてもらったから、召喚もできるし、大収穫だね。



「うーん、今回の目的は達成したから、明日からどうする?」


「船で帰るの嫌だから、ゆっくりと歩いて帰らない?」


「・・・賛成。じゃあ、明日は冒険の準備して、あさってには出発しよっか。」


「うん。」



その後、宿に帰りあさってからの帰り支度の準備をし、その日は終わった。帰り道は深い森を通ることになるので、危険な旅になるだろう。しかも、森を抜けるのに大人の足で3日掛かるので野営の準備も必須となった。


しかし、僕の神技を使えば簡単な家みたいなのも作れるから、寝るのも意外と安心かもね。そうだ、明日は大工さんとか見てまわって、頑丈な木材とか教えてもらおう。火に強い植物とか、魔法に強い植物とか、そんな便利な植物があればいいよね。




なんか、段々と戦闘以外が強化されてく感じがする…。




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「ねえねえ、恭介~。そういえば、昼間図書館で、知ってる顔みたような気がするんだよね~。」


「ん?ほんとに?俺ら以外もこの辺に来てるんかな?」


「うん、そうかもね。まあ、私らは明日からエルフの森だから、会うこともないか…。」


「ああ、あそこには、強い魔物がいるらしいからな。俺らくらいの実力がないと、危険だしな。」



俺達が明日から向かうエルフの森は、その名の通り、エルフが住む森なのだ。エルフというのは、ファンタジーでお馴染みの、耳の長い種族で、強大な魔力を持っているらしい。なので、その魔力があるおかげで、強い魔物がいる中でも問題なく暮らせるのだそうだ。


そして、この世界でのエルフは魔王の僕らしい。教会の神父曰く、人とは違う特徴のあるものは、そのほとんどが魔物ということだが、この街にもたくさんいるので、正直どこまでが魔物かがわからない。まあ、教会の人らも多少おおげさに言っているんだと思うが…。



「ねえねえ、本当にエルフって悪者なのかな~?あんまり、そんなイメージがないんだよね…。」


「うーん、でも神父様が言うんだから、この世界では悪なんじゃないのか?まあ、会ってみればわかるんじゃない?」


「そだね…。わかった!じゃあ、もう寝るね~。」


「ああ、おやすみ…。」



少女を見送り、少年はふと宿の外を見上げていた。この街にきて、久々にみた夜空には大きな月が2つ輝いていた。



「異世界、か…。」



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