38話目:王様の仕事?
午後から王様に護衛の報告に城を訪れた。メイドさんに案内され、やってきたのは応接室ではなく、城の外にある中庭だった。そして、そこには綺麗な庭園、ではなく農園があった。
さらに、そこの一角で農作業をしているのが、なんと王様本人だった。
「・・・あ、あの…。」
「おお、セイジ殿。これはこれは、護衛の任務御苦労だったな。」
「ああ、はい。それは、なんとも…。」
「はっはっはっ。王自らこんな、農作業をしているから驚いたのだろう。」
確かに驚いた。まさか、王様が畑で土に汚れながら仕事しているとは思わなかった。さらに言えば、王妃様まで一緒になってやっているし…。
「この国では、王の仕事などあまり無いのだよ。ならば、空いた時間は農作業でもして、我が食卓を潤わすくらいはしないとね。」
「まあ、そんなことを言ってますが、土いじりが好きなのですよ、この方は。まあ、私もいつの間にか好きになってしまいましたがね。」
夫婦そろって庶民的な人達だな。まあ、それだからこの国の人達も付いていくんだろうな…。
僕達は、王様に護衛の報告を済ませ城を後にした。アイシャは、王子らと遊んでくるといって別行動にした。
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その後ギルドにいって報酬を受け取りに行った。それとついでに、七海の特技を習得することにしたのだ。
ギルドにつくと、係員のお姉さんが、相変わらず涎を垂らして寝ていた。
「もしもーし、こんにちわー。」
「・・・うーん…。・・あっ、この間の…。今日も暇つぶしにきたのー。」
暇なのは、あんたの方でしょ…。
さっそく、水晶玉を出してもらって、七海に特技を見てもらった。
「えっと、選べるのがあんあり無いけど何にしようか?」
「え?あんまりないって?50個くらい出てない?」
「ううん、そんなにないよ。もしかして、誠二くんはいっぱい選択肢あるんだ。すごいね。」
うーん、どういうことだろう?特技って、人によって選べる物が違うんだろうか?てことは、もしかして奥技もないのだろうか?
「ねえ、もしかして【奥技】とかもでてない?」
「うん。選べるのは、【短剣術】【棒術】【体術】【身体強化】【火魔法】【水魔法】【風魔法】【料理】【裁縫】【彫金】【鷹の目】かな。」
うーん、やっぱり人によって変わるみたいだな。しかも、異世界補正はないみたいだ。てことは、僕が奥技を覚えられたのは、なにかしらの原因があるということだな…。最初から僕には輝かしい才能が…、これはないな。凡人なのは自分が一番理解してるから…。
てことは、こっちにきてから目覚めたのか、もしくは行動によって身に付いたか…。うーん、どうやら後者の方が思い当たるふしがあるな。たぶん、あの一人で生きていくために勉強したのが原因かもしれないな。
それなら、いろんな武器の使い方を教わったことで【武器術】を、いろんな魔法の知識を勉強したことで【属性魔法】を身に付けたのかもしれないな…。
「ねえねえ、どうする?戦闘には関係ないけど、【料理】とか覚えたいな。」
「うーん、それでいいんじゃないかな。僕達、あまり積極的に戦闘しない予定だし、料理は出来る人が多いにこしたことないしね。」
「うん、わかった。じゃあ、【料理】を習得するね。」
で、けっきょく特技は【料理】をとったみたいで、ステータスを確認すると、
名前:セイジ(主) P
LV:24
職業:剣士
ランク:E
魔魂:1890
特技:【料理 LV2】【裁縫 LV1】
奥技:【武器術 LV3】【属性魔法 LV3】
神技:【全花召喚 LV4】
名前:ナナミ P
LV:15
職業:奴隷
ランク:F
魔魂:1225
特技:【土魔法 LV2】【神聖魔法 LV1】【料理 LV1】
神技:【人形使い《ドールマスター》 LV3】
となっていた。
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とある森の一角の小屋で、その惨劇は起こっていた。一人の黒尽くめの男が、真っ赤に染まる剣を片手に、髭を生やした男に迫っていた。黒尽くめのまわりには、すでに事切れた躯が横たわっていた。
「や、約束が違うじゃないか!あのガキらを始末すれば報酬をくれるって騙しやがって!」
「知らん…。さっさと、かかってこい。」
「く、くそっ!」
髭の男は手に持った斧で襲ったが、簡単に返り討ちにあい、その血で床を埋め尽くした。
「ふん。弱い、弱すぎる…。」
「終わりましたか…。」
どこにいたのか、男のすぐそばに黒尽くめがもう一人立っていた。が、男はそれに驚いた様子もなく、
「ああ、手応えの無いやつらだ。こいつら、本当に勇者を片付けたのか?」
「ええ、教会での報告ではそうなってますね。まあ、体のいい口封じなわけですけどね。」
「ちっ!つまらん仕事だ。帰るぞ!」
黒尽くめの男が帰ったあと、もう一人いた黒尽くめが、小屋に向かって火を放った。たにまち、小屋には火が広がり、一気に小屋を焼き尽くした。普通の炎ではありえない、魔法の炎ならではの威力だった。
そして、薄く微笑を貼りつけながら、その場には炎を背にした黒い影があった。




