37話目:人形使い
次の日、城に行く前に試してみたい事があったので、七海を連れて庭にきていた。昨日のうちに七海には、自分の能力のことを話してあった。まあ、昔見たことがあるので分かっていたそうだが、あれからスキルLVもあがって応用力も上がったので昔の僕とは違うのだ!
「ところで、七海の能力は人型ならなんでもドール化できるの?」
「うん。人型だけじゃなく、動物とかでも大丈夫だよ。ただ、生き物は操れないかな。」
「それって、関節がない、例えば石像とかでも?」
「うん。石像でも銅像でも、問題なかった。さすが、魔法アリの世界だよね。」
なるほど、それなら僕の思ったことができそうだ。僕はさっそく、【全花召喚】を使用した。僕の能力は、一度”見た”もの(植物限定だけど)なら、形が違っても召喚できるのだ。この能力で、椅子やタンスなどの家具を出す事が出来、昨日は七海の部屋の家具を出したのだ。
すると、僕の思ったとおりの木製の人形が出てきた。昔デッサンで使ったことがある、デッサン人形というやつだ。大きさはだいたい50cmくらいで、美術室でみたものと同じタイプだ。
「この人形、動かせる?」
「うん、やってみる。・・・えいっ!」
七海の掛け声と伴に、デッサン人形はゆっくりと動き出した。それから、割と早い速度で走ったり、シャドーボクシングまでしてみせた。
「どう?」
「うん、これはすごいね…。」
七海は胸をはって、どうだって言ってきた。
「最高でどれくらいの人形を動かせる?」
「うーん、やったことないからわかんないけど…。」
「ちょっと試してみようか?」
そう言って、庭にたくさんのデッサン人形を召喚していった。全部で100体くらい出し、七海に操ってもらった。
結果
不気味な集団ができあがった。100体のデッサン人形が、わらわらと動いているのはある意味不気味な光景だった。だが、この能力のコンボはかなり使えそうだ。
あとは、人形を大きくしたりとか、複雑な動きをさせたりとか、その辺ができれば、人手不足の問題など一気に解決できそうだ。
「これで、人形軍団とか作ったら、すごいことになるね…。」
「うん…。まさか、私の能力にこんな使い道があったなんてね…。」
魔力の方はまだ余裕があるらしく、このサイズなら同じくらい出せるそうだ。あと、最初の起動時に魔力を使うので、維持するのも問題ないらしい。だいたい、丸1日は持つそうだ。
その後も、いろいろ検証してみた。そこで、わかったことをまとめると。
1・50cmサイズなら200体動かせる。今後の成長しだいで増えるかも。
2・命令すれば、複雑な動きもできる。屋根の修理とか、畑仕事もできるみたい。
3・人形は丸1日動き続ける。これも、今後の成長次第で増えるかも。
4・人間サイズでも問題なく動かせた。
5・木彫りの熊でも動かせた。魚の方も動いてた…。
と、こんなとこか…。あとは、僕の方の能力だな。今度、王様に相談して、木彫りの人形でも作ってもらおうかな?そういえば、布も綿もどっちも植物からできたものだったな。て、ことは、ぬいぐるみも簡単に召喚できるかも。
「うーん、やってみるか。・・・えいっ!」
できた!熊のぬいぐるみを召喚できた。
「わー、それ、いいなー。ねえねえ、動かしていい?」
「あ、うん。いいよ。動かしてみて。」
「きゃー!かわいいー!」
すると、テクテクと熊のぬいぐるみが2本脚で歩きだした。七海は、かわいさのあまり抱きしめて、なでなでしていた。その声を聞いたアイシャも庭に来て、一緒になってぬいぐるみと戯れだした。もう一個出してと言われ、アイシャ用に猫のぬいぐるみを出した。
これは、なんかファンシーな能力になってきたな。というか、この【全花召喚 】ってもしかして、すごい能力なんじゃ…。
あとは、これを戦闘に使う事が出来れば、かなり役に立つんだけどな。まあ、それもおいおい調べてかなきゃな。
そして、ふと気づいてしまった。
この能力を使えば、服もできることに。さらにいえば、その素材である布地もでることに。大量に買ってきた布地が意味のないものになってしまった。金貨1枚も無駄にしてしまった…。
両手を地面について、ガーンのポーズをしてしまった。
そして、また気づいてしまった。
服ができるということは、服を縫わなくてもいいということ…。さらにさらに、人形もぬいぐるみも縫わなくてもいいということ…。つまり、【裁縫】の特技がいらないものになってしまったーー。
完全に死にスキルだな。二重に落ち込んでしまった…。




