32話目:竹中七海
私の名前は、竹中七海高校2年生。修学旅行中バスの事故で、気が付いたら異世界にきていた…。最初は落ち込んだりもしたけど、クラスのみんなと一緒だったから、なんとか頑張れたの。いずれ元の世界に帰れるようになるのが、今の目標かな?
異世界に来てからは、教会という組織の中でいろいろ教えてもらって、この世界で生きてく知恵と力を身に付けたの。私の友達は、今もまだ眠ってるらしくて、目が覚めるまでは教会のどこかで寝かせてるって言ってたけど、魔法の障壁とかが張ってあって、会うことはできないんだって。
だから、今は特に仲も良くない、クラスのリーダー的存在の今井恵理子さんのグループに入って行動しているの。
「七海さん、ちょっと果汁水持ってきてもらえないかしら?」
「う、うん…。わかった…。」
「あっ、七海さん。私もね!」
今日も、いつも通りみんなのパシリみたいなことをしている。正直嫌なんだけど、こっちの世界ではほかに友達も居ないし、一人だと正直さみしい…。
そういえば、村井くんはすごいな。仲間の儀式で誰も仲間になってくれなかたみたいで、一人ぼっちなのに、とっても一生懸命で…。たぶん、一人で生きてくために必死に勉強してるんだろうな。
もし、出発まで誰も仲間に入れてくれないようだったら、誘ってあげようかな…?
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出発となった日に、私は勇気を出して村井くんを誘ってみた。でも、村井くんはこっち、というか、後ろの人達を見て顔をしかめ、一人で旅立ってしまった。
けっきょく私は、私に付いてきてくれた、クレアさんていう教会のシスターと、後は今井さん達との合計4グループでパーティを組むことになったの。パーティは、全員で9人の大所帯なんだけど、この世界では特に珍しくもないみたいなんだって。
私達は、しばらくは王国に留まり、地道にLVを上げ、ある程度鍛えたころに隣街まで旅立ったの。
最初の野宿とかは、今井さんがかなりわがままを言ってた。布団が欲しいとか、ご飯がまずいとか…。正直みんな、うんざりしてたけど、まあ現代人からしたら確かに厳しいよね。
で、そんな私達を冷たい眼で見ているパーティの人らが居たんだけど、その時はあんまり気にしてなかったんだ。この人達も大変だなって、親近感すら湧いていたのに、まさかあっちは、私も含めてそういう目で見てたなんて全然気づいてなった。
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それが起こったのは、隣町についてからしばらくしての事だった。
その日も、みんなで狩りに行くことになったんだけど、その日はいつも違ってたの。その日は、今後のことも考えて、勇者達だけで狩りをしてみないかって事になったの。まあ、もしもの時に対処できないと困るし、この辺りはザコしかでないから大丈夫ってことで女4人の勇者パーティで行くことになったの。
で、森まで出かけこれから魔物を探すぞって時になって、盗賊に襲われちゃったの。私達、誰も魔物とかは倒せたけど、人間相手だと怖くて、けっきょく手も足も出ずに捕まってしまったの。私達の中で唯一の男子だった、奥村栄治くんは、そのまま盗賊に殺されたみたいだった…。
アジトに連れて行かれ、ひどい事されるのかと思ってたけど、怖い髭の人が、
「おいっ、てめえら!こいつらは、処女らしいから奴隷商に高く売るんだからな!ぜってぇ手だすなよ!」
って、言って私達を襲おうとしてた男達を止めてくれたの。いい人ではないけど、とりあえず助かったの?ううん。これから奴隷にするって言ってたから、余計にひどい目に合うかも…。それにしても、どうして処女って分かったんだろう?
そんなスキルでもあるのかな?
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それから、奴隷商に売られて、馬車に乗せられて、どこか遠い街まで運ばれて行ったの。
これから、どうなるんだろ…。
みんな、泣く気力もなく項垂れていたその時、馬車の向こうに見知った顔があったの。あれは村井くんだ!こんな所で会うなんて!ちょっと嬉しかったんだけど、
あーー、でもこんな…。私、今は奴隷だし…。
もう会えるか分からなかったけど、できればこんな状態で会いたくなかったな…。
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それから、一緒に捕まった娘達と同じ部屋に入れられたの。今後、ここで調教されて、売られるんだそうだ。みんな、もう泣く気力すらなく、俯いて茫然としていた。もちろん、私も…。
しばらくして、廊下で声が聞こえて、こっちへ誰か来る気配がしたけど、もうどうでもよかった。誰かが入ってきて、私達を見てたが、たぶん調教の人かな?
どうせなら、村井くんみたいな人に買われたいな…。




